理解に苦しむ日本人サラリーマンの言動
焦れったさゆえに嫌がる中国人
上海清環環保科技有限公司(STECO)/
総経理
江頭 利将
江頭 利将
1965年7月 佐賀県生まれ。早稲田大学理工学部電気工学科卒。海外生活・事業経験27年(米国1.5年、韓国3年、アルゼンチン6年、中国16年)。2003年より中国事業に取り組み、2008年より上海清環環保科技有限公司(STECO)総経理就任。同済国際緑色産業創新センター(TIGIIC)運営幹事、日資企業節能環保推進研究会(JASPEE)運営幹事、上海佐賀県人会副会長、上海稲門会幹事長を務め、日本の優れた環境・省エネの世界標準化を目指すと同時に、海外進出済みの日系企業現地事業所の環境・省エネ対策サポートに取り組んでいる。机上の空論ではない実業経験を活かした実践的サポートが好評。
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「まったく何を考えているかが分からない」「YESなのかNOなのかがハッキリしない」「細かい質問をしてくる割に契約に至らないことが多すぎる」。多くの中国人ビジネスマンが愚痴る相手は、日本人サラリーマン駐在員です。
残念な情報ではありますが、日系企業を相手にするビジネスを行って来た中国人ビジネスマンのなかには、最近日系企業とのビジネスを避けようとする風潮があるようです。
これまで中国現地企業にとって日系企業は、経済的、技術的な差が大きかったため、いろいろと不満はあっても上手に付き合うことが避けられない存在でした。ところがここ数年、中米経済摩擦を起こすほどの強大な経済力をもつまでに発展した中国の民間企業は、スピードと資金力を生かし世界中で積極的なビジネス展開を開始しています。
そのなかには、中国人ビジネスマンたちの余りの強引さや迅速さが仇となり様々な軋轢や問題を引き起こしている事例もなきにしもあらずなのですが、確実に彼らの世界的勢力版図が拡大していることは自他が認めるところでしょう。
そうしたレベルでビジネスを行っている彼らにとって、日系企業と付き合うことは、とても骨の折れる、じれったい、忍耐力を必要とする割には「実りの少ないビジネス」になってしまっているのです。
■打ち合わせをしてもいつも曖昧なまま
そうはいっても、日本にお住まいの方には何が問題なのか分かりづらいと思いますので、中国人から見て「日系企業はちょっと変」と思われている事例をいくつか紹介しましょう。
1)会議にやたらと多くの日本人駐在員が参加するが、大半は何も発言しない
2)打ち合わせがやたらと長い割には、結果として決まったことは一つか二つ
3)不満を持っているにもかかわらず交渉をしてこない
4)メールでのやりとりが余りにもまわりくどく、本音が理解できない
5)その場で決定せず、必ず「内部確認後」とか「本社に確認後」という言い訳を使い、数週間も回答がない場合がある
まだまだ挙げればキリがないですが、中国人ビジネスマンが10人いたら上記5点は皆が同感するであろうことは間違いありません。
中国の場合、会議や打ち合わせのほとんどは、領導(りんだお:企業や組織の長)が決定したことを皆に伝え確認する場であり、参加するメンバー(それぞれの分野の責任を担っている者)の役割と責任と権限をお互いに確認、承認する場であるのです。
また他社との打ち合わせにおいても、必ずその会合のトップ(決定者)が存在しており、彼・彼女がすべてを仕切ります。ゆえに、決定事項もその場でそのトップの権限にて明確にYESなのかNOなのかを言い切りますし、駄目なら駄目、良ければ良いと結論づけることが一般的です。逆にそれがなければ、中国人にとってはなぜ会議するのかが分からないということになります。
もちろん、それだけの権限を持つ領導ですから、何か問題があれば当然それに見合った責任を取らされることになります。中国共産党を中央とするこの国家は、そのような緊張感を維持しながら成り立っているのです。従って、彼らの目からすれば日系企業の曖昧体質はどうしても理解できないということになるのです。
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