第86回:米国が2020年に特に警戒すべき非常事態は何か
The Council on Foreign Relations / Preventive Priorities Survey 2020
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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30の非常事態をランク付け
今回紹介させていただく調査報告書「Preventive Priorities Survey 2020」は、米国のCouncil on Foreign Relations(外交問題評議会)(略称 CFR)が2019年12月に発表したものである。CFRは1921年に設立された、外交問題や世界情勢を分析・研究するシンクタンクを含む非営利の超党派組織で、米国の対外政策に非常に強い影響力を持つと言われている。
本報告書は、米国政府関係者や国際関係の専門家、研究者を対象として行われたアンケート調査の結果に基づいて、米国に対して今後悪影響をおよぼす可能性のある非常事態(注1)についてまとめられたものである。調査は2019年11月上旬に、6000名以上の対象者に対して行われ、500名程度からの回答を得たという。
なお本報告書は、外交問題を主な切り口として調査されているものであるため、本稿の読者の皆様が普段よくお読みになると思われる資料とは、調査対象が若干異なる。本報告書の調査対象は、米国が軍事力を行使する可能性があるような種類の非常事態に限定されており、経済に関する危機や健康被害に関する事象、自然災害などは調査対象に含まれていない。また米国内において発生しうる混乱や紛争などは調査対象に含まれていない。
また、世界情勢は刻々と変化するが、本報告書は2019年11月時点での情報や認識に基づいており、これ以降の状況変化は反映されていないため、本報告書では最新の情報について「Global Conflict Tracker」というWebサイト(https://www.cfr.org/interactive/global-conflict-tracker)を参照するよう注意喚起されている。Global Conflict Tracker では図1のように、現在懸念されている非常事態の場所が地図上に示されており、該当箇所をクリックするとそれに関連する記事を読めるようになっている。
アンケートの内容は、今後12ヶ月の間に発生する可能性があり、かつ米国関係にとって有害となり得る30の非常事態について、それぞれ米国関係に対する影響の大きさと、それが発生する可能性の観点からランク付けをしてもらうというものである(注2)。ランク付けの基準は表1のとおりである。
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