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危機管理の神髄
ビクトリー・ラップ
超活動的な2017年のハリケーンシーズンの特徴は6つの大型ハリケーンであり、それは破壊的な2005年シーズン以来の最多の数である。記録上最も高くついたハリケーンシーズンであり、損害額は2810憶ドル(約28兆1000億円)であり、ほとんど全てが米本土に上陸した3つの大型ハリケーン―・ハービー、イルマ、マリア―によるものである。
2019/10/04
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危機管理の神髄
米国災害システムの神話
ニューオリンズ市緊急事態準備部副部長のカール・メテイリーは40時間以上寝ていなかった。市の首席行政官のオフィスの9階にある薄暗い緊急事態対策本部(EOC)の混沌の中を歩くとき、自分の将来にうたた寝などというものがあるとはとても思えない。典型的な日には大きな会議室くらいのこのスペースで30名は快適に仕事をすることができたであろう。今は、立ち止まっているグループ、机に座っている人、静かにしている人、そうではない人、会話をしている人、電話をしている人、壁に掛けられた一列のテレビモニターをぼんやり見ている人で、少なくとも100名の人がいる。
2019/09/20
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ロックフェラー財団100RCに見る街づくりのポイント
洪水リスクやインフラ老朽化への対策
今回は、デンマークのヴァイレという街のレジリエント戦略についてです。ヴァイレは、北欧諸国から唯一100RCに選ばれた街です。~皆が共に、ロバストで持続可能な街~をスローガンに、2016年にレジリエント戦略を策定しました。注力する分野は市民参加、デジタル化、そしてソーシャルレジリエンス構築の3つです。人口規模は11万人程度。小さな街が、大きな社会課題を解決する――ことを高々に謳っています。
2019/09/18
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危機管理の神髄
次なる本当に大きな地震が起きた後、われわれは何を語っているだろうか?
ピュリツァー賞を獲得した記事「真の大災害」の中で、ニューヨーカー誌の記者であるキャサリン・シュルツ氏は北米大陸史上最悪の自然災害について述べている。科学者によると、1700年1月26日、太平洋岸北西部での大地震がカナダのバンクーバー島から南へ約900キロ、カリフォルニアの北部にかけての地殻を切り裂き、破滅的な被害をもたらした。地質学上の記録によれば、マグニチュード8以上のこのような“大地震”は、太平洋岸の北西部では500年に一度の割合で発生している。“真の大災害”でシュルツ氏はこの事実が何を示唆するかを述べている。次なる真の大災害は14万平方マイルの地域に被害を及ぼし、ワシントン州のシアトル、タコマ、オレゴン州のポートランド、ユージン、セーレムといった人口の集積地に壊滅的な打撃を与える。700万人がパラレルな宇宙に投げ込まれる。そのうち1万3000人が死亡し、2万7000人が負傷する。100万人分の避難所、250万人分の水と食料が必要となるであろう。
2019/09/06
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ロックフェラー財団100RCに見る街づくりのポイント
人口急増や家庭燃料ニーズの上昇への対策
100RC連載の第一回は、イギリス・スコットランドの最大都市であり、古い歴史の街でもあるグラスゴーを取り上げます。100RCでは、都市のレジリエンスを高めるために、各都市が抱える課題を短期的な課題(ショック)と長期的な課題(ストレス)に分けて定義しています。この連載でも、各都市におけるショックとストレスをご紹介したあとに、それらの課題解決にむけたレジリエント戦略のエッセンスを提示したいと思います。
2019/09/05
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海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第76回:取締役の関与こそサイバーセキュリティ対策の要である
英国に本拠地を置くコンサルティングファームGrant Thornton UK LLP(注1)は、2019年7月にサイバーセキュリティに関する調査報告書『Cyber security: the board report』を公開した。この報告書の副題は「いかに取締役がビジネスにおけるサイバーアタックによる影響を減らせるか」(注2)となっており、主に取締役等を対象とした問題提起となっている。
2019/09/03
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危機管理の神髄
十分大きくも早くもなれない
クライシスは慎重で几帳面である。知力と体力を蓄えて、ユニークな混沌とした混合物を構築して時を待つ。そしてまさにそのとき、恐るべき武器であり、われわれがサージ(大波)と呼ぶ衝撃の雪崩を解き放つ。あらゆることーわれわれが起きてほしいと望むこと以外のあらゆることーが一度に発生する。
2019/08/23
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海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第75回:BCMの関係者が考える組織のレジリエンス
BCMの専門家や実務者による非営利団体であるBCI(注1)は、組織のレジリエンスに関するアンケート調査の結果を『Organizational resilience: Perspectives from the industry』という報告書として2019年7月に発表した。アンケート回答者の多くがBCI会員(つまりBCM関係者)だと思われることから、この調査結果はあくまでもBCM関係者が組織のレジリエンスをどのようにとらえているかを表すものと考えるべきであろう。
2019/07/30
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危機管理の神髄
パラレルな宇宙を旅してみよう
我々の秩序のある合理的なときもある世界と異なり、パラレルな世界では混沌と混乱が支配している。通常の論理のルールは、因果関係といった基本的なものでさえ、適用されない。あまりにも奇妙な場所なので描写することもできない。行って自分で見るほうが良い。 現実の災害はメッシーなので、われわれはこれをシミュレーションによって行うのが一般的である。可能な限り精細なカラフルな災害現場あるいはシナリオを想像してみる。今それをしてみよう。まずは思考の実験である。一瞬自分のことを考えてみる。来月、今日から4週間のカレンダーはどうなっているだろうか?
2019/07/30
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危機管理の神髄
パラレルな宇宙~大災害の本質
激しい振動があなたを快眠から揺さぶり起こす。あなたは目を開ける。真っ暗闇で全く音はしないがまだ寝室にいる。突然マットレスが持ち上げられて波のように揺れ動く。あなたを揺すぶって起こした狂人が戻ってくる。あなたのベッドの下でこれぞとばかり激しく蹴って突き上げる。雷鳴とポップコーンのはじける音と、花火の音の全てが同時に来たような騒音で耳がふさがれる。れんがのビルを擦り合わせているような擦過音もする。しばらくすると揺れは収まりベッドから落ちる。寝室は前後に、激しく揺さぶられておりランプや写真が棚から落下して壊れるのを聞く。
2019/07/26
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海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第74回: IT途絶を招いた最大の原因は何か
データバックアップやITシステムの災害復旧などのサービスを提供している英国のDatabarraks社は、ITのレジリエンスやサイバーセキュリティなどに関する調査報告書として、2019年7月に「Data Health Check 2019」を公開した。
2019/07/16
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危機管理の神髄
世界は狂った
鉄のカーテンの両側で政治家と将軍たちは、もし、相手側がこちらを皆殺しにするなら、相手側も皆殺しにすると保証した。つまり、われわれは人間を抹殺することに同意することで、人間性を維持するのである。 ルイス・ラプハン 「化石の森」
2019/07/12
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海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第73回:GDPR導入後の英国におけるサイバーセキュリティの実態
英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省(Department for Digital, Culture, Media and Sport)は2019年4月に「Cyber Security Breaches Survey 2019」という報告書を発表した。これは英国内の企業と慈善団体(businesses and charities)を対象として、サイバーセキュリティに関する実態調査を行った結果をまとめたものである。
2019/07/02
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危機管理の神髄
すべての災害の母
未来を垣間見ることができれば、どうだろうか。 もし、全ての起こるかもしれない災害と、それがもたらす全ての悪いことを見ることができたら、どうだろうか。ハリケーンによる大洪水、地震で倒壊した建物、停電でスーパーマーケットの空っぽの陳列台や凍える住宅、バイオテロ攻撃の死者など、それらの全ての悪いことを足し合わせてみる。それは、どのように見えるだろうか。
2019/06/28
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海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第72回:DDoS攻撃の発生状況とその実態
これまで本連載でたびたび紹介してきた、BCI(注1)による Horizon Scan Report(注2)によると、世界のBCM関係者が今後12カ月間に最も懸念される脅威は4年連続で「サイバー攻撃とデータ漏えい」(Cyber attack & data breach)となっている。また同じくBCIから発表された「Supply Chain Resilience Report」(注3)によると、世界のBCM関係者が過去12カ月間に経験したサプライチェーン途絶の原因の中で「サイバー攻撃とデータ漏えい」は 2013年から急増しており、2015年以降は2~3位の間で推移している。したがってサイバー攻撃はBCM関係者にとって最も警戒すべき脅威の一つと言える。
2019/06/25
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危機管理の神髄
Shit happens -最悪の事態も起きるー
9.11の後、インテリジェンス・コミュニティ(政府が設置している情報機関によって組織されている機関)では攻撃が差し迫っているということが多くの人の目に明らかだった。ハリケーン・カトリーナの後、ニューオーリンズのインフラの強化が大幅に遅れていることもよく知られていた。 ナシーム・ニコラス・タレブ(ブラックスワンの著者)によれば、ブラックスワンはきっかけとなるインシデント(出来事)、あるいは一連のインシデントの産物なのだと説明するのは、偶然にだまされているのである。事後でさえ大災害の原因を理解できると考えるのはばかげている。結局のところ科学者たちは、相当の努力をしたにも関わらず、地震やテロ攻撃のタイミングを正確に予想することはできなかった。大災害の原因を突き止めるというのは大体において後付けの試みである。
2019/06/14
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海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第71回:各国のビジネス環境におけるリスクの総合的ランキング2019年版
米国の損害保険会社FM Globalは同社のサイト上で「FM Global Resilience Index」というデータを公開している。これは同社のデータベースを含む様々な情報源から得られた情報を基に、約130カ国のビジネス環境に関するリスクを評価した結果をまとめたもので、2018年版が公開された際に本連載でも紹介させていただいたが(注1)、本稿では 2019年5月に公開された2019年版を紹介する。
2019/06/04
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危機管理の神髄
想像上の友人 人間のもろさ
我々は何度も同じ問題に直面した。受け身の抵抗、曖昧、そして無視である。我々は人が何を言うか、それをいつ言うかが分かるまでになった。奇妙に思うかもしれないが、この現象を説明するために想像上の友人を作ることにした。その名はブルースである。
2019/05/31
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危機管理の神髄
希望が煉瓦壁になる 我々は自らの脆さを忘れがちである
ベッドからはい出して床に倒れたとき肌に分厚い煙が押し付けられるのを感じる。できるだけ床に近くいるのがよいと誰かが言っていたことを思い出す。しかしそこに救いはない。熱と酸素不足があなたの心臓をどきどきとさせる。希望は遠のいていき、もう終わりだと悟る。意識を失いつつあるとき、遠く家のもう一方の端で、煙感知器がピッチの高い音を出すのを聞く。近くの煙感知器用に買っておいた新品の電池が使用されないで台所のカウンターにある。あなたの命を救ったかもしれない電池であるが交換されることにはならなかったものである。
2019/05/17
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危機管理の神髄
重要なインフラ サイバー脅威
電力・病院・サプライチェーン・通信・小売店・公共輸送・銀行といった重要なインフラからなるすべてのシステムに共通していることがある。ワールド・ワイド・ウェブとして知られる危険な荒れ野に融合されていることである
2019/04/26
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海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第69回:米国組織におけるERMへの取り組み状況とその傾向
当サイトにアクセスされる方々の中では、「エンタープライズ・リスクマネジメント」(Enterprise Risk Management)およびその略語である「ERM」という用語をご存知の方も多いであろう。ERMとは組織全体を対象として取締役会、経営者、および従業員によって実行され、事業戦略の策定や事業のあらゆる領域に適用される包括的なリスクマネジメントプロセスである。
2019/04/16
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危機管理の神髄
最重要なインフラー電力
重要なインフラのリスクと言えば電力である。電力はいわゆる本源的入力であり、それがなければ何も動かない。 日々の生活を可能にする電気は発電・送電・配電設備の膨大なネットワークによって供給される。全国高圧送電線網として知られるものであり、複雑になりもろくなる一方である。 老化がある。送電線と変圧器の70%は少なくとも25年を経ている。
2019/04/12
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海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第68回:サプライチェーンを脅かすリスクを世界規模で俯瞰する
国際物流大手のDHLは、グループ企業のResilience360社を通じて「Resilience360」というサプライチェーン・リスクマネジメント関連サービスを提供している(注1)。そのサービスにおいて収集されたデータに基づいて、2018年のサプライチェーンに関するリスクの状況を総括した報告書が、「Resilience360 Annual Risk Report」としてResilience360社から公開された。
2019/04/09
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危機管理の神髄
リスクの強烈さ 大災害、高まる脆弱性
「ようこそ、世界の交差点へ」 路線①の電車がタイムズスクエア地下鉄駅へ入線してくると何十年来使い古されたスピーカーから車掌の大きなよく聞こえる音声が流れる。ニューヨーク、それは金融・テクノロジー・アート・ファッションの国際センターである。ハドソン湾とイーストリバーが合流して大西洋に注ぐところにできた広大な自然の港を取り囲んでいる。エンパイアステート・ビル、セントラルパーク、そしてタイムズスクエアのネオンなどを見に訪れる観光客は毎年6000万人にのぼる。それは眠らない都市である。しかし、そこで暮らす850万人の住民にとっては、ビッグアップルのバイタリティには、日常の仕事をやっていくうえで不都合な点もある。
2019/03/29
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海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
第62回:BCM担当部門に求められる他部門との協働
事業継続マネジメント(BCM)の専門家や実務者による非営利団体である BCI(注1)は2018年11月に新しい調査報告書「Continuity and Resilience Report 2018」(以下「本報告書」と略記)を発表した。これは事業継続に関連する分野である情報セキュリティ、リスクマネジメント、物理的セキュリティ(physical security)といった分野との関係を通じてBCMの役割を明らかにすることを意図してまとめられたものである。本稿では本報告書の中から、前述の各分野の担当部門との協働に関する部分をピックアップして紹介する。
2018/12/18