第78回:BCM関係者は「破壊的テクノロジー」とどのように付き合っていくのか
BCI / Disruptive Technologies 2019 - Impacts and opportunities for resilience
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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BCMに影響を与えるクラウド
読者の皆様は「破壊的イノベーション」(disruptive innovation)という言葉を聞いたことはおありだろうか? これは1995年にハーバード・ビジネス・レビューに掲載された論文で最初に用いられた言葉で、新たなテクノロジーによって既存の秩序を破壊し、ビジネスや業界の構造を劇的に変化させるようなイノベーションを指す。「破壊的テクノロジー」(disruptive technology)もこれとほぼ同時に生まれた造語で、既存のテクノロジーに完全に取って代わって破壊的イノベーションをもたらすようなテクノロジーの総称である(注1)。
BCMの専門家や実務者による非営利団体であるBCI(注2)が2019年9月に発表した報告書『Disruptive Technologies 2019 - Impacts and opportunities for resilience』(以下「本報告書」)は、そのような破壊的テクノロジーをBCM関係者がどのようにとらえているかを調査した結果である。調査は主にBCI会員などを対象としたアンケート調査によるが、データの集計結果だけでなく自由記述による回答者からのコメントが要所要所に引用されているので、BCM関係者がどのようにテクノロジーと向き合っているかが感覚的にも伝わる報告書となっている。
なお回答(156名)の約半数は欧州、2割程度は南北アメリカからのもので、アジアからの回答は8.3%である。また回答者の23.1%が金融業、18.6%がコンサルタントなどの専門家、12.8%が IT サービスおよび公的機関(同数)となっており、製造業からの回答は4.5%にとどまっているので、このような回答者のプロファイルを念頭に置いてお読みいただきたいと思う。
本稿のトップに掲載したグラフは、「今後12カ月の間にBCMに最も影響を与えそうな新しいテクノロジーは何か?」という質問に対する回答である。「クラウド」が45.2%で圧倒的に多く、これに「データ分析・可視化ソフトウェア」や「人工知能(AI)」が続いている。一方で図1は「あなたの組織でこれらの新しいテクノロジーはいつ頃使われるようになると思うか?」という質問に対する回答であり、6割以上の組織でクラウドは既に使われていることが分かる。
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