第74回: IT途絶を招いた最大の原因は何か
Databarracks / Data Health Check 2019
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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サイバー攻撃が増加
データバックアップやITシステムの災害復旧などのサービスを提供している英国のDatabarraks社は、ITのレジリエンスやサイバーセキュリティなどに関する調査報告書として、2019年7月に「Data Health Check 2019」を公開した。
これは英国内の組織(公的機関や非営利団体を含む)におけるIT部門の管理職および担当者400人以上を対象としたアンケート調査の結果であり、同社は2008年から毎年この調査を実施している。
本稿のトップに掲載した画像は、回答者が所属している組織で直近12カ月間に発生したIT途絶に関する最大の原因は何かを尋ねた結果である。ここで「Cyber incident」(サイバーアタックによる事故)が増加傾向にあることは注目すべきであろう。
一方で「Hardware failure」(ハードウェアの故障)が2016年からずっとトップを維持しており、また「Upgrades/patches」がやや減少傾向とはいえ13%ある。これは恐らく、システムのソフトウェアなどのアップグレードや、不具合対策やセキュリティ対策のための修正プログラムを適用する際に発生したトラブルによるものと思われる。
本連載で紹介させていただいたほかの調査報告書(注1)でも、サイバーセキュリティに対する懸念が高まってきている状況をお伝えしてきたが、IT途絶の原因としては従前からのハードウェアトラブルや保守作業に起因するものが、依然として少なくないということであろう(注2)。
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