住宅火災 

真夜中 寝室

悪夢にうなされている。火炎に囲まれたベッドで寝ている。木とプラスチックの燃える悪臭とともに分厚い黒い煙があなたの鼻と喉に一杯になるとき、恐怖で動けない。夢を見ているのだから、目を覚ませばよいのだと思う。そのとおり起きて目を開けると、悪夢は現実であることがわかる。家とあなたの周りのものは全て燃えている。炎がすぐそばにあるので熱い。いまだかつて経験したことがない熱さである。ベッドからはい出して床に倒れたとき肌に分厚い煙が押し付けられるのを感じる。できるだけ床に近くいるのがよいと誰かが言っていたことを思い出す。しかしそこに救いはない。熱と酸素不足があなたの心臓をどきどきとさせる。希望は遠のき、もう終わりだと悟る。意識を失いつつあるとき、遠く家のもう一方の端で、煙感知器がピッチの高い音を出すのを聞く。近くの煙感知器用に買っておいた新品の電池が使用されないで台所のカウンターにある。あなたの命を救ったかもしれない電池が交換されずに。

「サイコロを転がすのは計画ではない」

新しい電池を煙感知器に入れるべきであったことは言うまでもない。しかしクライシスになるまでは、明らかであるようなことの多くが明らかではない。その明らかなことから始めよう。あなたはあなた自身と家族のために災害に備えなければならない。

初めて聞くことではないだろう。今日では至る所で災害用キットを組み立てるべきであること、あるいは計画を立てるべきであること、の広告がなされている。国土安全保障省の公式ウェブサイト(Ready.gov)から疾病管理予防センター(CDC)のゾンビ準備キャンペーン、アメリカ赤十字の「赤十字よ、準備せよ」プログラムまで、あなたに準備を促して、たいそうな時間と努力が費やされている。問題はこれらの時間と努力が無駄になっていることである。

なぜ準備すべきか、は明らかである。最初に重要な問題である。誰もそれを話すのは好まないが、あなたは死ぬかもしれない。ほんの瞬間でも思ってみるべきだ。近親者の誰かが死ぬと、あなたの生活にどれほどのインパクトを与えることか。感情的なものだけではなく、実際上の影響もある。遺言書がなければ遺族に大きな感情的そして金銭的なストレスがかかる。まだそうしてないなら遺言書を作り生命保険のファイルを整理することをお勧めする。最悪の事態になったとき家族を助けるであろう。