(図:Shutter Stock)

トランプ政権が2025年2月1日にソマリアで実施した「イスラム国」(IS)系組織への空爆と、モロッコで摘発されたISサヘル州に関連するテロ未遂事件は、アフリカにおけるISの対外的攻撃性が依然として高いことを示している。これらの事例は、ISがアフリカ大陸で勢力を拡大し、国際社会への脅威を増大させている現実を浮き彫りにする。特に「イスラム国ソマリア州」と称する組織は、活動の多国籍化や資金支援の積極性を通じて、アフリカを越えたテロネットワークを構築しており、その対外的攻撃性が顕著である。ここでは、最近の事例を基に、「ISソマリア州」の活動とその特徴を詳しく見ていく。

2025年2月1日、トランプ大統領は第2次政権発足後初の大規模軍事行動として、ソマリア北部山間部の「ISソマリア州」拠点を空爆した。この作戦はソマリア政府と連携し、米軍の無人機と精密誘導兵器を用いて実行され、幹部を含む複数の工作員が殺害された。米軍は、この拠点が訓練キャンプと武器貯蔵庫を兼ね、国際テロ計画に利用されていたと推測している。トランプ氏はSNSで「米国や同盟国を脅かすテロリストを必ず見つけ出し、殺す」と強調し、民間人被害がないことを主張。国防長官も「脅威排除の準備が整っている」と正当性を訴えた。この空爆は、「ISソマリア州」が米国や同盟国への攻撃を計画しているとの情報に基づく。通信傍受や現地協力者の報告が作戦の契機となったとされる。

ソマリアは長年内戦と政治的混乱に苦しみ、中央政府の統治力が弱い地域では、「ISソマリア州」やアルカイダ系「アル・シャバーブ」が活動基盤を築いてきた。ISソマリア州は独自拠点を確立し、アル・シャバーブと競合しつつ勢力を拡大。両者は時に協力するが、支配地域や資金源を巡る対立も多い。トランプ第1次政権ではソマリア空爆が急増し、2019年にはアル・シャバーブ戦闘員100人以上が殺害されたが、過激派の完全制圧は達成できなかった。2025年の空爆は、ISソマリア州が再び国際的脅威として浮上したことへの警戒感の表れである。