2024/11/07
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】当選を確実にしたトランプ前米大統領は、バイデン政権が進めた気候変動対策を大転換し、石油や天然ガスの生産拡大を進めると主張している。電気自動車(EV)推進を撤回し、温室効果ガス削減に向けた国際枠組み「パリ協定」からは再離脱する方針。化石燃料に関する規制を緩和し、エネルギーコスト削減を目指す。
トランプ氏は6日未明の演説で「われわれは世界のどの国よりも多くの黄金の液体(石油と天然ガス)を持っている」と強調し、開発を促進する方針を改めて表明した。
石油輸出国であり、一大消費国でもある米国のエネルギー政策の行方は、国際石油市場が注目。気候変動対策の後退は、自動車メーカーなどの経営戦略にも大きな影響を及ぼす可能性がある。
「ドリル・ベイビー・ドリル(石油を掘りまくれ)」。トランプ氏は選挙戦で、何度もこの言葉を繰り返し、石油や天然ガスなど化石燃料の生産拡大を主張。気候変動対策を「緑の新たな詐欺」と批判してきた。
トランプ氏は、EV推進やクリーンエネルギーの生産強化を盛り込んだインフレ抑制法の廃止を求めている。石炭火力発電などへの環境規制を緩和し、化石燃料生産を巡る行政手続きも効率化する考えだ。
バイデン政権が復帰したパリ協定も、米国に過剰負担を強いる「ぼったくりだ」と非難。前回政権時に続いて再び離脱する方針だ。
ただ、化石燃料生産の急拡大には懐疑的な見方が多い。バイデン政権は発足当初、石油生産の抑制に動いたが、ガソリン価格が上昇すると一転、石油各社に増産を働き掛けた。
米エネルギー情報局(EIA)によると、足元の米原油生産は日量約1300万バレルと過去最高水準に達している。トランプ氏による方針転換が、大幅な増産につながるかは未知数だ。
(ニュース提供元:時事通信社)
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