2024/08/22
防災・危機管理ニュース
東京電力は22日、福島第1原発事故で溶け落ちた2号機の核燃料(デブリ)の試験的取り出し作業を中止した。準備作業中、デブリの回収装置の取り付け手順でミスが発覚したという。同社は原因や詳しい経緯を調べており、再開時期は未定。デブリを格納容器から取り出すのは、2011年の事故後初の試みだった。
東電によると、取り出しに向けた準備作業は午前7時25分ごろから開始。遠隔操作で「テレスコ式」と呼ばれる釣りざお状の装置を格納容器との接続部の手前まで進入させたが、作業員が同装置に取り付ける5本のパイプの接続順序に誤りがあることに気付き、作業を中断した。当初は格納容器内まで投入し、約2週間かけて底にたまったデブリから最大約3グラムを取り出す予定だった。
東電の担当者は同日午後の会見で、「(ミスに)気付けたことは良かったが、起こったことは初歩的だと感じている」と釈明。原因や再発防止策を取りまとめた上で作業を再開する方針を示した。
同社の小早川智明社長も、訪問先の新潟県柏崎市で報道陣の取材に応じ、「試験的取り出しは、廃炉の中でも一番重要な局面。焦って大きなトラブルになるよりは、安全優先で進めることが必要だ」と述べた。
〔写真説明〕東京電力福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の回収装置の一部。パイプ(左)の接続順序に誤りがあったため、試験的取り出し作業は中止された=22日(東電提供)
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方