支援の空白

丹波市に集まったボランティアは発災から3カ月の時点で延べ1万7000人を超えた。神戸大学名誉教授の室﨑益輝氏は「丹波市市島や柏原は小さな城下町としての歴史があり結束が強い。丹をはじめ地域の人たちが主導して対応し、経験のある外部のボランィア団体がサポートした珍しい例だ」と語る。

総務省が5年に1度実施している社会生活基本調査によると2011年に災害ボランティア活動を行った人は431万7000人。10年前に比べ約2.7倍に増加した。阪神・淡路大震災から20年が経ち、さまざまな経験を積みボランティアは着実に成長している。

一方で、丹波市の集中豪雨から4日後に広島市北部で豪雨による大規模な土砂災害が発生すると、課題も浮き彫りとなった。

広島に集まったボランティアの数は、発災から3カ月で5万人近くと、丹波を大幅に上回る。広島市が集市街地なのに対し、丹波は山間地で土砂が農地も含め大量に入り込み、被害地の面積は広大に広がる。山腹崩壊は200カ所以上と広島を上回り、農業や林業の復興など、山村部特有の支援も求められる。「多くのボランティアが広島に行き、丹波市では支援の空白が生まれた。全体を見渡して調整し、役割を分担する必要がある」と室﨑氏は問題点を指摘する。

東日本大震災後にもボランティアが特定の地域に集中していることが問題になった。人的被害が大きい場所だけを取り上げる報道姿勢も問題だが、行政の情報発信力についても考える必要がある。集中豪雨や地震が多発する日本では今後も災害が重なることは十分に予想される。メディアとの災害報道に関する協定の締結、SNSの活用など、情報発信力を高める体制を整えておかねばならない。

■2014年8月16日 丹波市豪雨災害被害状況
 人的被  死亡1人、負傷4人
 住宅被害  全壊17棟、大規模半壊8棟、半壊39棟、一部損壊1棟、
       床上浸水140 棟、床下浸水723棟
 非住家被害  全壊27棟、大規模半壊2棟、半壊10棟、
       床上浸水140棟、床下浸水1433棟
 その他被害  
林地崩壊116カ所、道路冠水64カ所、土砂堆積:道路84カ所・河川29カ所・農業用排水37カ所・農地140カ所、崩落等:道路79カ所、河川26カ所

2014年9月22日まとめ

■災害ボランティア登録状況
1万7230人(個人6068人、団体1162人)
※2014年12月22日まとめ

倒木の伐採にあたるボランティア