2015/01/20
C+Bousai vol2
さらに、阪神・淡路大震災や東日本大震災をはじめ、各地の災害で経験を積んだボランティア団体が全国からも駆け付けた。「私たちも全ての被災現場に対応できるわけではない。レスキューストックヤードなどに助けられた」(打田氏)。
NPO法人レスキューストックヤード(RSY)は、名古屋市に拠点を持つボランティア団体。阪神・淡路大震災を契機に設立された「震災から学ぶボランティアネットの会」を発展的に解消し、2002年にNPOとして新たなスタートをきった。これまでに全国各地、40カ所の約災害現場に駆けつけ支援してきた。
丹波には、第一陣が8月21日に入り現地調査を開始した。「2009年の兵庫県佐用町の台風被害をイメージしていたが、丹波氏の被害規模は甚大だった」と話すのはRSYの浦野愛氏だ。兵庫県佐用町では2009年の台風による豪雨で堤防が決壊し死者・行方不明者20人を出している。
浦野氏のボランティアとしての原点も阪神・淡路大震災にある。避難所や仮設住宅に併設された集会所で喫茶店やバザーを開き、被災者の声に耳を傾けた。県外避難者の支援にも携わった。浦野氏らがまず手助けしたのは、ボランティアセンターの運営だった。運営主体である丹波市社会福祉協議会と協力し、戸別訪問を行った。「丹と自治会長を中心とした聞き取りでは全てのボランティアニーズを集められない。とにかく支援のもれがないように心がけた」と浦野氏は語る。ニーズを掘り起こすために個別訪問を行う一方で、作業現場とボランティアとのマッチングもサポートした。
「100人弱だったボランティアが500人、1000人と増えてボランティアセンターの運営に支障が出ていた」(浦野氏)。
RSYとともにボランティアセンターを助けていた「一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター」は東京に本部を持つ。やはり、阪神・淡路大震災の救援活動をきっかけに設立された団体で、以来、国内外で幅広く活動している。垣貫紀彦氏は丹波の初期の復興状況について「当初は地元のネットワークを生かしてボランティアセンターを運営していたので、外部の人までサポートできなかった。このままだと丹や自治会長の疲労が蓄積し続かないと思った」と振り返る。
垣貫氏は、「震災がつなぐ全国ネットワーク」で情報をキャッチし丹波市入りした。「震災がつなぐ全国ネットワーク」は阪神・淡路大震災を経験した全国各地にちらばる9つの災害ボランティア団体が連携するために発足し、参加団体を増やしながら現在に至っている。
C+Bousai vol2の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方