2016/03/24
誌面情報 vol54
NO.9 資源問題の深刻化
見落としてはいけないのが「資源の問題」、中でも水資源である。グローバルリスク報告書の中でも水資源問題はかなりクローズアップされている。製造業にとっては、まず、現地で電気や道路について心配されるだろうが、これからは水を外すわけにはいかない。安全な水を十分確保することが各国でとても難しくなってきている。特に、新興国の中国・インド・インドネシア、あるいはアフリカでは、水がかなり不足している。この水問題に起因して国際紛争が起こり得る時代ということを認識しておく必要がある。
NO.10 ICT進展に伴う問題の拡大
10番目は、ICT進展に伴う問題の拡大だ。とにかく劇的にICTは進展している。それに伴い、生活やビジネスにおいては飛躍的にスピードや利便性が高まったが、風評などが伝わりやすい時代になってきていることも心得ておかなくてはならない。ちょっとしたミスでも、SNSなどにより、会社の主力商品の販売に大きな影響を与えることがある。さらに政府機関や日系の大手企業に対するサイバーテロも相次いでいる。ICTは非常に便利だが、大きなマイナス点もあるということを心得ておく必要がある。
NO.11 ビジネス環境の急激な変化
最後は、グローバルビジネス環境の急激な変化だ。特に法規制の問題に注意が必要だ。欧米における外国公務員に対する贈賄禁止に関する法律(FCPA・UKBA等)による規制強化により、企業(事業者)間で価格や生産数量、販売地域などを決めるカルテルの問題を各国が積極的に摘発している。当然、OECD各国は日本も含め自国法を作っているが、あまり摘発が進まないということから、アメリカは2000年代に入ってから急激に海外企業に対する規制を増やしてきた。罰金はカルテルで1社平均6000万ドル、約70億円にもなる。一番多いものは4億ドル、約470億円という事例もあった。米国司法省はもっと規制を強めると言っている。ちなみに、この外国公務員に対する贈収賄の問題で、一番舞台になる可能性が多いのはナイジェリアや中国だ。新興国でこのような問題があった時に、その国で罰せられるだけでなく、アメリカが乗り出してきて、これが下手をすると、何十億、何百億円の罰金になることを全社員に叩き込んでおかなくてはいけない。数年前に米国司法省のホームページから、事例をチェックをしたことがあるが、その時だけでも27人の日本人がアメリカで拘束されていた。少なくとも1~2年の禁固刑+2~8万ドルの個人的な罰金が科せられる。こうした問題にも、是非気をつけていただきたい。
(了)
誌面情報 vol54の他の記事
おすすめ記事
-
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方