【北京時事】中国国営新華社通信は9日、習近平国家主席が共産党最高指導部のメンバーらが出席する会議で「近隣国との運命共同体構築」を掲げ、協力の強化を指示したと報じた。個別の外交方針に関して、習氏自ら指示を下すのが公になるのは珍しい。各国に対して高関税政策を発動したトランプ米政権の動向を踏まえ、周辺諸国と結束を図るのが狙いとみられる。
 会議は8、9両日に北京で開催。李強首相ら政治局常務委員全員と韓正国家副主席、王毅共産党政治局員兼外相らが出席し、習氏が「重要演説」を行った。
 報道によると、会議では「中国と近隣国との関係は最良の時期を迎えており、同時に近隣情勢と世界の変化が深く連動する重要な段階にある」という認識を共有。アジア諸国との連携を加速させるため、党による関連部門への指導を徹底する方針が示された。サプライチェーン(供給網)での協力推進も確認した。
 「近隣国」が具体的にどの国を指すのか言及はないが、米中が影響力を競う東南アジア各国のほか、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じた結び付きが強い中央アジア諸国も念頭にあるもようだ。
 香港メディアによると、習氏は今月、ベトナム、マレーシア、カンボジアの東南アジア3カ国を歴訪する。保護主義的な政策を掲げるトランプ政権が対外援助の見直しを進める中、「途上国に寄り添う中国」としての姿勢をアピールする見通しだ。 
〔写真説明〕中国の習近平国家主席=3月28日、北京(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)