2016/07/03
誌面情報 vol54
海外でスリや置き引きなどの窃盗に気を付けるのは今や常識。だが、わかっていても被害は減らない。どのような犯罪手口やトラブルが増えているのか、どのような点に注意したらいいのか? 外務省領事局海外邦人安全課邦人援護官の伯耆田修氏に、海外での犯罪手口やトラブル、そして注意が必要なケースを挙げてもらった。
犯罪の手口として多いもの (スリ・置き引きの巧妙化、集団化)
○コイン・クレジットカードをばらまく、カギ束を落とす。
○衣服にケチャップ、ソフトクリームをつける。
○エスカレータの降り口で立ち止まる。
○列車・バスの外から窓をたたく。(犯人の一味が列車内・バス内にいる)
○ぶつかってくる、押される、転ぶ、子供が転ぶ
○声をかけられる、大声を出す、時間を聞いてくる。(注意をそらして置き引きする)
○紙幣やハンカチが足下に落ちていると指摘される。
○地図を持って、道を聞いてくる。
○物乞い、路上での小物売り。
リスク管理 (狙われやすいケース)
■ホテル
○格安のホテルに泊まる。
○ホテルのチェックインの際、足下にバッグを置く。
○ホテルの室内に貴重品(パソコン、デジカメ)を置く。
○ホテルのセキュリティ・ボックスに現金を保管する。(ホテルによっては信頼できない)
○ホテルのドアがノックされたので開ける。防犯チェーンをかけず寝る。
■交通機関
○他人の荷物を預かる。(覚醒剤の運び屋にされてしまうことも)
○スーツケースに名字をアルファベットのシールで貼っている。(名前がわかり、窃盗や詐欺などに遭いやすい)
○空港到着ロビーでカートにカバンを置いたままスーツケースをとる。
○地下鉄・バスの乗降口付近に立つ。(ドアの開閉時に、かばん等をひったくられる可能性が高まる)
○バスや列車で寝る。
■日常生活
○夜間に外出、1人で行動、人通りが少ない道を歩く、車道側を歩く。
○財布に多額の現金が入っているのを見られる。
○銀行・ATMを利用する。(ATMのカード挿入口を細工する犯罪増加)
○ビール、コーヒー、クッキーをおごられる。飲みに誘われる。(睡眠薬強盗)
○高級腕時計をする。高額な装飾品をつける。
○蚊にさされる。(感染症にかかる可能性がある)
○窓を開けて運転。ロックをせず運転。助手席にバッグを置く。
■レストラン
○ビュッフェ形式のレストランでバッグを置いたまま、料理を取りに行く。
○背広を椅子にかける。セカンドバッグを椅子の背もたれの間に置く。
○オープンカフェで食事をする。(置き引きされやすい)
○生野菜を食べる。ウイスキーをロックで飲む。(国によっては、野菜をしっかり殺菌消毒していないお店や飲料水に適さない水を凍らせていることがある)
○クレジットカードで金額を確かめずサインをする。
だまされやすい例
○ガイドをしてくれる。(ぼったくりの可能性も)
○旅先で知り合った外国人とホテルの室内で飲む。(睡眠薬強盗)
○宝くじに当たったとの連絡が入る。(詐欺)
○トランプゲームに誘われる。
○警官から所持品の検査をされる。(偽警官の可能性あり)
○白タク・悪徳タクシーに乗る。
○高級じゅうたん、宝石、ブランド品を安く購入する。
○両替してくれる。(信頼できる銀行・両替所以外の場所では詐欺に遭うこともある)
○誘われるままバーに入る。(ぼったくりバー)
○所持しているカメラで友人との写真を撮ってくれる。(カメラを盗まれることもある)
現地の法律・風習・習慣に関するトラブル
○子供の頭をなでる。(タイやインドネシア、ネパール、インドなど、アジアの多くの地域でタブーとされている。頭は神聖な場所なので、他人が触れてはいけない)
○足を組む。(足の裏を相手に見せることが失礼とされる国がある)
○女性が運転をする。女性が一人でホテルに泊まる。(女性が運転免許証を取得できない。あるいは女性一人でホテルに泊まることを認めない国がある)
○ウイスキーをスーツケースに入れて海外旅行する。(飲酒を法律で禁じている国がある)
○ダムを撮影する。現住民の写真を撮る。(法律で撮影が禁止されている場所がある。写真を撮られると魂がとられると思っている原住民がいる)
○作文で「いつもお父さんとお風呂に入って楽しい」と書く。(児童ポルノ違反として処罰される国がある)
○邦貨だけ所持し海外旅行する。(両替できない国がある。換算レートが悪いことがある)
○母親が子供と一緒に日本に帰国する。(父親の同意のサインが必要とされる国がある)
○5カ月後に失効するパスポートを所持して海外旅行する。(入国に当たってパスポートの有効期限が最低6カ月必要とする国がある)
○国旗が記載されているTシャツを着る。(国家侮辱罪とする国がある)
○夏、中庭に水まきをする。(水不足の時期に、庭への水まきを禁止し罰金刑を科す国がある)
○個人店で宝石を購入する。(国営店や指定店での購入しか認めていない国がある)
○自分の子供の頭をたたいてしかる。(幼児虐待として処罰される国がある)
○眠っている子供を車内に置いたままコンビニで買物をする。(年少児監護義務違反として処罰される国がある)
○夫婦げんかで夫が妻の腕を強く引っ張る。(DVとして処罰されることがある国がある)
○レストランでデートをする。(家族以外の異性とレストランの同室で食事をすることを禁止している国がある)
○警察官の前で胸のポケットに手を入れる。(拳銃を所有していると誤解され危険)
○交通事故に遭い、まず、車を安全な場所に移動する。(証拠隠滅として処罰される国もある)
○子供が乗降中のスクールバスを追い越す。(道路交通法で禁止されている国がある)
(了)
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