2.DMOC図上訓練の概要

今回の訓練は、2015年10月19日の訓練概要説明会の後、10月27日と11月21日に2回実施した。2回の訓練では、ほぼ共通のシナリオと状況付与を用いており、訓練参加者の多くも共通している。想定災害は、「11月の休日の午前8時ごろに北九州市小倉北区を震源としたマグニチュード6.9の直下型地震が発生し、同市内の震度は最大で震度6強、老朽化した建物が倒壊し、各地で火災が発生、市では災害対策本部を立ち上げたが、災害現場が多く、現状の消防隊、救急隊では災害の全体像を把握することが困難」というものである。

訓練に参加したプレーヤーは、およそ30人であり、調整、現場、第一群病院、避難所、受援・物資の5つのグループ(班)に分かれて活動した。11月21日の訓練では、さらに、同時平行して進められた同市八幡東区役所の避難所運営訓練と連動させるために、八幡医師会がひとつのグループとして参加した。これらのグループが北九州市立八幡病院内の大会議室に集まり訓練を行った。図3にこの時の訓練会場配置を示す。

表1は、11月21日の訓練における状況付与の一覧である。先述のように、今回は、基本的な業務の流れを一通り試すことが目的であるため、状況付与の数は、実災害と比べてかなり抑えてある。

なお、表1の付与区分欄で「重要」と記した案件については、すべて、図2に示したような業務の流れと各グループの個別行動が整理されており、それらの行動の所要時間を計測した。図4は、予想された業務の流れを集計した結果である。状況付与の数は、実際の大規模な災害と比べるとかなり少なめであるが、それでもDMOC内外の調整を担う調整グループには、多くの個別行動が生じている。

なお、DMOCと外部機関の間では、受援や応援の調整が主になされる。各グループへの状況付与は電話で、グループ間の連絡は、同じ会議室内のためにおもに口頭で、また、現場や外部機関への指示は、主に電話でなされた。今回の訓練では、コントローラー(訓練進行の裏方)が現場や外部機関の担当者を模擬的に勤めた。