2021/08/18
テクノロジーが変える防災・危機管理
激増するデータ量
大量のデータがやりとりされる社会。では具体的にデータの流通量はどれだけ増えるのでしょうか。
上図はIT専門の調査会社であるIDCによる予測です。2020年時点では約50ゼタバイト(=約50兆ギガバイト)だったデータ流通量は、たった5年後の2025年には約175ゼタバイトまで増加すると見込まれています。
次に、IoT機器に絞って見てみます。上図は、世界におけるIoT機器の設置台数の予測およびIoT機器が生成するデータ量の予測です。2025年時点で、約416億台の機器が設置・使用され、79ゼタバイトのデータを生み出すと予測されています。
防災/危機管理の未来「サイバー・フィジカル・システム」
自然災害の多発化・激甚化、先進国における社会の分断や各地でくすぶる軍事的脅威、気候危機やパンデミックといったグローバル規模の問題……防災/危機管理の世界において課題は山積しており、IoT×5G×AIにより大きく進化させることが期待される領域と言えます。
進化した防災/危機管理はどのような姿になるでしょうか? そのために鍵となる概念が「サイバー・フィジカル・システム」です。これは現実世界の膨大なデータを、数値化してサイバー空間に取り込み、コンピューティングパワーによる分析や解析を行った上で、それを現実世界にフィードバックし、最適な結果を導き出すシステムのことを指します。この概念自体は決して新しいものではありませんが、デジタル技術が進展し、概念を現実化する環境が整ってきた、と言うことができると思います。
サイバー・フィジカル・システムのもとでは、MaaSの進展とともにセンサーの塊となった自動車や、自動運転のためのセンサーや防犯カメラ、5Gの基地局を組み込んだスマートポール、各地に設置されたカメラの動画や計測データ、また個人が持つウェアラデバイスからのデータ、衛星からの画像や膨大な気象データなど、現実世界の状態をあらわすあらゆるデータがサイバー空間に吸い上げられ、そこで解析された結果が現実世界にフィードバックされます。
例えば、気象の予測データと過去の水害データから洪水発生の予測をし、洪水が起こるであろう場所に向かう自動運転自動車のルートを変更する、洪水発生のアラートを個人のスマートウォッチに送ると同時に、収容する余裕のある避難所に避難誘導する、などといった防災・減災や危機回避のための主動的なアクションにつなげることができるようになるでしょう。
参考情報
5Gとは?そして防災/危機管理分野への活用について(スペクティ、2020年5月10日)
https://spectee.co.jp/report/5g_and_disaster_crisis_management/
株式会社Spectee 企業ブログから転載
テクノロジーが変える防災・危機管理の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方