2021/08/06
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識
メッセージの出し方の参考例
①対策として何をする必要があるのかまで網羅する例
次の例は、オーストラリアのビクトリア州当局が河川氾濫の恐れが高まったときに出した情報です。企業が従業員向けに注意喚起をした例ではないものの、学ぶべきポイントはメッセージに含めている情報量の多さです。
この例で網羅されている情報には次のものがあります。
・今河川で何が起こっているか(水位・雨量の現状や予測を含む)
・何をいつ行うことが最も安全な対策となるか
・情報が発表された今の段階ですべきこと
・別の場所に避難をするときに考慮する点
・移動時の注意点
・自宅にとどまる場合や逃げ遅れたときにすべきこと
・新型コロナウイルスに対する対応
・地域で見込まれる道路やライフラインへの影響
・連絡先・情報入手先(次の情報発表時間を含む)
日本の場合、情報量は極力少なくし、簡潔に注意を呼びかける方法が好まれがちですが、オーストラリアの例の場合は「すべきこと」や「すべきでないこと」のメッセージが非常に具体的です。情報量も多く、一つのメッセージの中に十分な判断根拠がそろっているとも言えます。
情報が簡潔過ぎる場合の欠点は、受け取った側が自分で追加的に調べて判断しなければならない点です。従業員向けに出すメッセージで特に字数などの制限がない場合は、詳細をできるだけ詳しく伝えることを念頭に置いてメッセージの文面や内容を検討しておかれてはいかがでしょうか?
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方