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リスク対策.com編集部が昨年実施した「組織における風水害対策調査」の結果を見ると、多くの企業が風水害対策として「大雨前後の従業員への注意喚起」に力を入れていると回答しています。しかし一言で「注意喚起」と言っても、中身に当たるメッセージで何を伝えるかが肝心です。例えば次のような総論的なメッセージを発信していませんか?

画像を拡大 図1. 2021年7月26日に発表された住民向けの注意喚起のメッセージ(出典:千葉県銚子市のホームページより)

上記の例は迫り来る台風に対して自治体が住民向けに注意喚起を行った例です。「(台風が)上陸する恐れ」「今後の気象情報に注意」「不要不急の外出は控えて」という呼びかけはもちろん誤りではありませんが、受け取る側から見るとどこか定型文のように見えてしまうものです。

「自社で従業員に注意喚起をしても、いまいち反応が悪い」という背景には、ひょっとしたらメッセージの出し方やコンテンツに問題が潜んでいるのかもしれません。

今回の記事ではメッセージの内容や情報の見せ方をひと工夫することで、より効果的な注意喚起を行う方法についてまとめていきます。情報の出し方という面では海外の事例が非常に参考になるため、オーストラリアやオランダで水害が見込まれたときの事例を本文の中で紹介します。本題に入る前に、まずは普段行っている注意喚起の問題点についてチェックしてみましょう。

問題のある注意喚起となっていないかのチェックポイント

これまでに従業員向けの注意喚起を行った例がある場合、次の項目が満たされていたのかを振り返ってみてください。以下の項目として挙げたものは、より具体的な注意喚起に必要と考えられる要素です。

□被害を減らすためにいつまでに何の行動を取れば良いか具体的に伝えていますか?
□どういった災害の可能性が何時ごろ高まる見込みかを示していますか?
□危険となりそうな地域について図なども用いて伝えていますか?
□注意喚起は1度だけではなく、状況の変化に応じて続報を随時出していますか?
□被害が発生してしまったときに何をすべきか伝えていますか?

チェックの数が少ないようでしたら、具体性の面で、やや問題のある注意喚起となってしまっていた可能性があります。海外の事例では、上記の項目を幅広く網羅する形で注意喚起をする例があるので、早速具体例を見ていきましょう。