アフターコロナのBCPを考える(写真:写真AC)

共通キーワードは「実効性」への不安

昨年までのBCP(事業継続計画)のテーマであった首都直下地震や南海トラフ地震、あるいは台風や大雨等の気象災害への対応。ここへきてやっと、担当者はコロナ以外の危機管理作業ができる状況になってきたのではないでしょうか。

ここ数年、筆者が行う講演会やセミナー、またクライアントとの雑談において、BCP策定(策定中)企業が抱えるある特徴的なキーワードが浮かび上がってきました。それは「実効性」への不安です。

企業によって経営者の考え方や現場の考え方、投下できる予算、社内文化などはさまざまですが、共通のキーワードとして「実効性」への課題があるように思います。

例えば、大企業に多く見られるケースはこうです。
BCPはかなり以前に策定したマニュアル等が陳腐化、さらに担当者が人事異動になって社内に危機管理のプロがいない、訓練も長い間実施していないためにいざという時に機能するかどうか…そもそも経営陣の危機感と現場の感覚がズレていて、対応策自体に不安がある…。

中堅企業は、こんな悩みはないでしょうか。
十分な危機管理対応予算が付けられない、帰宅困難者を3日間オフィスに泊めておくなど不可能では? そもそも自社のBCPが他社と比べて見劣りしていないか…。

中小企業では、こうしたケースが見られます。
助成金などの補助を受けられるにも関わらず、経営陣や管理職にBCPや危機管理の本質的な議論がない、助成金の範囲でモノを買うことだけの危機管理、いわゆる備蓄品の購入でしかBCPを考えていない…。

企業の危機管理担当者によって悩みはまちまちでありながら、いずれも実効性に対しての不安を口にされています。