ITシステム運用において企業が抱える深い闇とは(イメージ:写真AC)

IT活用は進んだが業務システムは?

コロナ禍は、IT業界にとって業績回復のまたとない機会になりました。

リモートで会議を行い、業務フローにおいて手作業の部分をRPA(Robotics Process Automation)を使ってパッチワークのようにシステム補完する。あるいは、実施を延期していたシステム構築をこの機とばかりに行い、ブラウザがあればどこでもいつでも操作可能なWEBアプリケーションの開発を進める。と、このようにいろいろなケースでIT/ICTは活況を呈しました。

コミュニケーションツールとしてのIT活用は劇的に進展(イメージ:写真AC)

私はセミナーなどを通じて日本のITリテラシーの低さを指摘してきましたが、コロナ禍を経て、社内外のコミュニケーションという点ではリモート会議の進展は画期的で、災害時にも使える手段として大変意味のあるものと認識されるに至りました。しかし一方で、業務システムはどうでしょうか。

業務システムにおけるIT活用はどこまで進んだか(イメージ:写真AC)

リスク対策.comのリスクアドバイザー資格講座では、ITリスクを「ヒト」「システム」「カンキョウ」と分類し、それぞれに冗長化などの対応をとることをお話していますが、これらは既存の仕組みに対する対応策であって、企業が日々運用している業務システムの開発思想や開発内容にまで踏み込んでいるわけではありません。

私が新卒として日本のIT企業に就職した数十年前は、大手金融機関や大手製造業、航空会社、大手流通業・物流企業、通信キャリアなどが、メインフレームと呼ばれる大規模コンピューター、ハードディスク、プリンターなどの装置を体育館ほどの巨大なマシン室に設置し、人が凍えるほどの強烈な空調によって冷やしながら、莫大な電気代を払って運用していました。コストを考えても、相当な効率化が図れる手段として、使わざるを得ないものだったわけです。

その後、メインフレームがサーバーとなり、システムが非常にコンパクト化し、インターネットの出現により高速でデータ交換ができる世界に突入。さらなる効率化によって、日本の企業は大いに躍進するはずでした。そして、生成AI や DXです。

業務システムのIT化によって必ずしも業務の効率化が図られているとはいえない(イメージ:写真AC)

世界に比して日本のAI活用、DX導入は遅れていると言われます。特にAIは生理的に認めようとしない高齢経営者も多く、それにメディアも乗っかって、AIを危険なものとして扱い、現場からボトムアップで導入を進言することは現実的に不可能だと考えられています。ジャングルジムは危険だから公園には置かせないと同じ発想で、経営者は企業としての効率化をどう考えているのか非常に疑問に感じます。