東京都立広尾病院が公開しているアクション・カードの例

4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。

アクション・カードの概念は、1970年代に生まれたとされる。大規模事故などにおいて、傷病対応にあたる病院は業務が集中し、各個人の責任や対応があいまいになりかねないことから、各職種がどう動くべきかを明確にし、事前にカードを作成・配布しておくことで初動をスムーズにし、混乱を最小限に抑えられる方法として提案された。欧米など海外の医療現場を中心に活用され、日本では2000年代以降、医療系学会の主導などによって普及してきた。

近年では自治体や企業のBCPでも、地震や火災などの初動対応の手順などについて「誰がどのタイミングで何をするのか」を明確にする手段として採用が増えている。災害や緊急時に備えて、分厚い対応計画を策定していても、いざというときそれを見直してる余裕はない。カード1枚見れば、やるべきことが順序だってわかる、というのがアクション・カードの最大の利点といえる。