情報環境が危険な行動を誘発する(イメージ:写真AC)

陰謀論渦巻く機密情報

最近、情報環境を揺るがす大事が多いように感じる。その一つ、半世紀以上に渡って謎とされた件に関して、若干横道にそれるが、冒頭で触れさせていただく。

ケネディ元大統領の暗殺の真相が明らかになるのか(イメージ:写真AC)

1963年に起きた米国のジョン・F・ケネディ元大統領暗殺の政府文書の機密指定が解除された。さまざまな陰謀論が囁かれ、触れてはならないとされていたトップシークレットであり、トランプ大統領が1期の後半に公開を示唆したことが再選を妨げる大きな要因になったとまで言われたものである。半世紀以上の時を経て、ついに公開された。

情報量は500万ページにも及ぶとされる膨大な量になり、今回公開された8万ページ超の全文を読んでコメントするのが本来的ではあるが、あまりにも多すぎて、読みこなし、解析は容易でなく、識者による分析を待とうと考えている。

ところが、米国歴史学者のピーター・カズニック教授が早々に「決定的な内容は見当たらない」とし「元海兵隊員オズワルドの単独犯行を証明するものも、共犯者の存在を示すものも、見つかる可能性は極めて低い」と共同通信の取材に答えたのだ。

私は首を傾げた。どうやって調べたのだろうか。AIでも使わない限り、この短期間でコメントを発信するレベルには至れないことは容易に想像できる。もしAIを使用していたとしても、その解析過程はブラックボックスなので、学者として発信するのははばかられるはずだ。流石にないとは思うが、元々の意見があって、そのバイアスを持った勝手読みではないかと疑いたくなるのである。もしそうであれば、客観的立場からは到底受け入れられる発信とはいえないだろう。

結論としては、さまざまな識者が時間をかけて分析した発信を行うだろうから、それらを待ち、そのプロセスも含めて内容を確認したいと思っている。

半世紀以上に渡る謎でもあり、本来は1次情報にあたるべきではあるが、少なくとも結果を切り取った報道を鵜呑みにするだけでなく、その分析過程である2次情報には皆さんも注視されることをお勧めしたい。

安部元首相暗殺の公判はまだ(イメージ:写真AC)

そうやって国内に目を移すと、安倍元首相暗殺の公判がいまだに始まらない。岸田前首相襲撃事件は判決まで出ているのだが。そしてこのことに関して、国会でほとんど討議されてこなかったのも奇怪でしかない。

3月18日の衆議院法務委員会にて日本保守党の島田洋一衆院議員が「『公判前整理手続きが難航している』と伝えられているが、なぜこんなに時間がかかっているのか」と質問した。その後の産経新聞の取材に「安倍氏は国際的にも評価され『3回目の首相登板』もあり得た人物。その事件の公判が2年8カ月も過ぎて始まらないのは、極めて異常な事態だ。国民も不思議に思っている。<中略>本来、自民党の旧安倍派の議員が質問すべきだが、誰も聞かない。今後も問いただしていくしかない」(※)と語っている。
https://www.sankei.com/article/20250319-FHD2M2HQH5ITRIWQYOKR5GID3A/

ケネディ暗殺同様、全容解明まで半世紀以上待てというのだろうか。