(Annamorphosis/Adobe Stock)
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。


――大阪・関西万博の安全対策をどう評価しますか。

板橋 功 氏
公益財団法人公共政策調査会
理事・研究センター長

万博会場のセキュリティチェックは空港と同様のレベルです。入口では金属探知機とX線装置を使い手荷物検査が実施されています。そのため、爆発物や凶器などが持ち込まれる可能性は非常に低い。会場内で大きなテロなどが発生する可能性は極めて小さいと考えています。

ただし、建設途中の施設もあるため資機材や工具などの持ち込みは続きます。ここから不審物が持ち込まれる可能性があるため、一般来場者と動線を分けて管理する必要があります。工事関係者などの専用ゲートでは厳重なチェックを続けなくてはいけません。

テストランや初日の様子を見ると、「並ばない万博であったはずでは?」というのが正直なところ。入場で発生した長蛇の列は、QRコードの読み込みができなかったのが大きな要因のようです。通信環境の改善と共にセキュリティチェックの習熟度を上げる必要があるでしょう。

――来場者が気をつけるべきことは。

初日は大混乱が発生した夢洲駅。入場制限が行われた。(soraneko/Adobe Stock)

大規模イベントなので、人が過度に密集して将棋倒しになるような雑踏事故が発生する可能性はあります。会場内には狭い通路もあり、人の殺到はやはり危険です。当日券を含め入場者や各パビリオンへの予約を管理するシステムもあり、一定のコントロールは可能なはずです。しかし、どこまで入場などの制限を行うのか、初日の様子からは今のところ不明です。そうなると、来場者が自ら注意する必要もあるでしょう。

夢洲駅構内の階段(写真AC)

鉄道は、事故や故障などの様々な要因で列車が止まったり、ダイヤが乱れたりします。夢洲は終着駅であるため、理由はどうあれ地下鉄が長時間にわたり止まった場合には大規模な滞留が予測されます。駅構内は階段もあり、場合によっては危険な状態になるかもしれません。会場へのアクセスには東ゲートの地下鉄と西ゲートのバス、タクシーの2つに限られています。地震など自然災害を踏まえ、主催者だけでなく来場者も、会場内での一時的な待機までを考えておくべきでしょう。