2020/07/07
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■ 政策立案者と政策遂行者
次に、以下の表をご覧いただきたく思います。

日本では、各都道府県に知事がいて、その地方には議会が存在し、裁判所も存在します。いわゆる地方自治体にも三権分立構造が存在するわけですが、中国ではそのかたちが異なります。
中国では、常に各地方自治体の「長」の上に共産党中央より任命された政策立案者(中央政府の政策の伝達者とも言える)である「党幹部」もしくは「党書記」と呼ばれる者が配置されます。彼らは、共産党中央が決定した政策を着実に実現するための指揮官であり、責任者でもあります。
各地方で選ばれた省長や市長などの責任者は、どこまでもそれらの政策を実行することが責務であり、政策を立案したり、地方政府の方針を決定したりする立場にはないのです。
そのため、日本からの駐在員たちがそのことをよく知らず誰と交渉すべきか分からないなどの悩みを持ったり、「長」と呼ばれる人と合意したにも関わらずその約束が反故にされてしまったなどの事件が起きたりしてしまうことが多くあるのです。
これらの仕組みが分からないことが、結果として「中国に騙された」とか「約束を守ってもらえなかった」という苦い思いをして撤退するといった日系企業の失敗談が後を絶たない原因となっているのです。
中国という国家の成り立ちをよくよく理解し、中国ビジネスに挑戦していただきたく思います。
日本企業が失敗する新チャイナ・リスクの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/25
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方