西欧諸国と足並みをそろえる日本。中国ビジネスへの影響は?(写真:写真AC)

■西側諸国と中国・ロシアの間で深まる溝

6月26日、G7首脳会議が開かれているドイツ南部・エルマウでの演説にて、岸田首相はG7各国が途上国などへのインフラ投資促進に向けて発足させた新たな枠組みの一環として、日本として今後5年間で650億ドル(約8.8兆円)以上の拠出を目指す考えを発表しました。

岸田首相は明確に言及しませんでしたが、さまざまなメディアが補足するように、これは「中国の一帯一路政策」に対抗する西側諸国の枠組みに乗るという意味であることは間違いないでしょう。なぜなら、米国のバイデン大統領は、演説で明確に中国の「一帯一路」構想に対抗するため、G7国家が総額約6000億ドル(約81兆円)を拠出し、開発途上国の道路や港湾など各種インフラの整備を支援する計画であると言及したからです。

西側諸国と中国・ロシアの間で深まる溝(写真:写真AC)

G7国家とは、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の7カ国のこと。そして今回のロシアのウクライナ侵攻に対し、経済的な制裁を下すか、それに加え武器も提供している国家集団です。侵攻を契機として西側諸国とロシア・中国の間の溝が深まっているのは間違いなく、大規模な世界的インフラ整備支援構想を打ち出すことで、国際的な支持を取り付けたいという思惑であることは明白です。

そして、日本がこれに対し積極的な関与を表明したことで、中国に対し明確に反旗を翻したということを意味するのです。