コロナ会見にはいたわりや励ましの言葉が必要
第14回 社会的危機発生時のメッセージ
日本リスクマネジャ-&コンサルタント協会副理事長/社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授/
広報コンサルタント
石川 慶子
石川 慶子
東京都生まれ。東京女子大学卒。参議院事務局勤務後、1987年より映像制作プロダクションにて、劇場映画やテレビ番組の制作に携わる。1995年から広報PR会社。2003年有限会社シンを設立。危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。企業・官公庁・非営利団体に対し、平時・緊急時の戦略的広報の立案やメディアトレーニング、危機管理マニュアル作成、広報人材育成、外見リスクマネジメント等のコンサルティングを提供。講演活動やマスメディアでのコメント多数。国交省整備局幹部研修、警察監察官研修10年以上実施。広報リスクマネジメント研究会主宰。2024年より社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授。
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新型コロナウイルス感染は、WHO(世界保健機関)にパンデミックとして認識され、世界的規模での危機に発展しました。社会全体の危機には、どのようなメッセージを心掛ける必要があるのか考えます。
お見舞いやいたわりの言葉を忘れない
リスクの分類方法は「純粋リスク」と「ビジネスリスク」に分ける方法などさまざまありますが、メッセージ発信のあり方から、要因によって3種類に分類される(※)という考え方を私は採用しています。
その3つの分類とは、企業の過失、社員による横領など組織内部に要因があり事前に回避すべき「予防系リスク」、テロなど外からの攻撃によるリスクで組織外部に要因がある「半予防系リスク」、戦争や災害、パンデミックなど社会や自然を要因とする「非予防系リスク」です。
予防系リスクは要因が組織内部にありますので、発生した際には当事者である組織は謝罪すべきですが、今回のウイルスは個人や組織が自らの力で発生を事前回避できない社会全体におよぶ「非予防系リスク」になります。従って、発生時には謝罪ではなく、いたわりやお見舞いの言葉、あるいは励ましの言葉がふさわしいのです。
しかし、残念なことが起こってしまいました。2月22日、一般社団法人日本災害医学会が「新型コロナウイルス感染症対応に従事する医療関係者への不当な批判に対する声明」を発表したのです。ダイヤモンド・プリンセス号で対応した医療従事者が「ばい菌」扱いされて、謝罪を求められていることに対する抗議文でした。感染者や医療従事者を謝罪させる社会であってはなりません。
(※)「広報・パブリックリレーションズ入門」(2007 猪狩誠也編著)より
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