複数の配車アプリが乱立し、それぞれに対応したタクシー会社の車しか呼べない状況の改善に向け、国土交通省は実証実験を始める。配車アプリに互換性を持たせるために必要な機能を定めた「標準仕様」を作り、アプリ同士を連携。将来的には、一つのアプリで他の大手アプリや各タクシー会社の独自アプリにしか対応していない車も呼べるようにしたい考えだ。
 配車アプリには「Uber Taxi(ウーバータクシー)」や「GO(ゴー)」、「S.RIDE(エスライド)」といった大手のほか、各タクシー会社が作った独自のものがある。タクシー会社は独自アプリを使うと同時に、大手のうち一つと契約しているケースが多い。
 地方ではタクシーの総数が少なく、互換性がないままでは一つのアプリで呼べる台数は限られる。地域交通網を維持するため、国交省はアプリの利便性向上が必要と考えた。
 実証ではITベンダーに委託して標準仕様を策定。まずは地方の中小タクシー会社の独自アプリ同士を連携させるモデル事業を試行し、年度内に仕様を公表して各アプリに組み込んでもらう。2026年度以降もモデル事業を重ね、仕様を改善しながら連携できるアプリを増やしていく。
 自治体が運営するオンデマンドバスの予約アプリでも、同様に標準仕様を作る。予約アプリは全国に10種類以上あり、隣接する自治体同士で違うものを導入していると、住民が隣の自治体のバスを呼ぶ際に不便が生じる。アプリ同士が連携されれば、一つのアプリでどちらのバスも呼べるようになる。 
〔写真説明〕タクシー乗り場(資料写真)

(ニュース提供元:時事通信社)