2017/02/20
災害から命を守れ ~市民・従業員のためのファーストレスポンダー教育~
しかし、ここで強調しなければならないことがある。それは人間一人では何もできないということだ。特に災害時においては家族、近隣住民、自治体、企業の単位でチームとなり一丸となって対応しなければ困難を乗り越えることはできない。チームプレーの総力戦で命をつなげなければならないのである。そのためには、緊急時の対応方法を標準化し、多くの人々が共通の認識として捉え、運用していくことが必要である。
本シリーズでは、一般市民、そして組織の従業員一人ひとりの生活に密着したところから学びを浸透させていき、ファーストレスポンダー(※)としてポジティブな防災を実現できるように導いて行きたい。リスク対策.comの読者の皆さんに災害に対応した機動力について何らかのヒントを提供できれば深甚である。
※ファーストレスポンダーとは事故や災害が発生した時に初動対応に当たる公設の警察・消防・自衛隊・海保の職員を総称している呼び名である。
以降、下記の連載予定で進めて行きたい。
《連載予定項目》
1.災害準備編:
災害時の特徴を学び、真に準備しなければならない事は何かを理解する、特に自己の安全管理の重要性を理解する。
Ⅰ.危険の種類を認識
Ⅱ.地域、健康、人、インフラへの影響を分析
Ⅲ.防護行動
Ⅳ.災害準備の計画
Ⅴ.訓練参加の重要性
2.災害心理学編:
災害時に人間が陥り易い傾向とパターンを心理学的に解析し、それらを克服するための理論と、チームを守る上で心構えを学ぶ。
Ⅰ.災害時における人間が陥りやすいバイアス
Ⅱ.要救助者、救助者双方の災害時におけるストレス
Ⅲ.災害時のストレスを軽減する方法
IV.チームとしての心構え
3.チーム編成編:
災害時にいかに効率よくチームを機動させ情報共有しながら対応していくかの基本的な学び。(インシデント・コマン・ドシステム)
I.ICSとは?
II.チームワークの重要性
III.記録のための書式
4.個人用保護具(PPE)編
災害対応する上で、いかにPPEが重要であるかを理解する。
I.個人用保護具の種類
II.安全管理
III.個人用保護具の正しい装着及び脱着
5.火災防護編:
安全な初期消火を実践するための学び。
Ⅰ.火の化学を理解する
Ⅱ.自宅、職場、近隣での火災危険
Ⅲ.状況判断
Ⅳ.可燃性危険物
Ⅴ.消火方法
Ⅵ.安全管理
6.災害ファーストエイド編:
平時のファーストエイドと違う災害時特有の応急手当を実践するための学び。
Ⅰ.災害時特有のファーストエイド
Ⅱ.4人の“殺し屋”
Ⅲ.気道確保、止血、ショック、クラッシュ症候群への処置
Ⅳ.要救助者の処置に対する優先順位
Ⅴ.衛生管理
Ⅵ.要救助者のアセスメント
Ⅶ.応急救護所の設置
VIII.その他のファーストエイド
7.捜索・救助編:
危険が伴う捜索救助活動における、より安全で確実な捜索救助を実践するための学び。
Ⅰ.短時間で多くの要救助者を救出
Ⅱ.状況判断
Ⅲ.基本的な救助技術
Ⅳ.基本的な捜索技術
Ⅴ.瓦礫を取り除く方法
Ⅵ.要救助者を安全に救出する方法
Ⅶ.救助者の安全管理
8.危険物・テロ災害編:
化学薬品、生物剤、放射性物質、爆発物などを用いた特殊災害を見極め、それに対する正しい対処を実践するための学び。
Ⅰ.テロの定義を理解
Ⅱ.ターゲットになりやすい場所を理解
Ⅲ.テロ事案に対応する方法
IV.危険物・テロ災害初動対応ガイドブック
9.国民総ファーストレスポンダー化への提言
10.国土強靭化への提言
(了)
災害から命を守れ ~市民・従業員のためのファーストレスポンダー教育~の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方