記者からの質問に適切に答えられますか?
第9回 トップはメディアトレーニングを受けるべき
日本リスクマネジャ-&コンサルタント協会副理事長/社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授/
広報コンサルタント
石川 慶子
石川 慶子
東京都生まれ。東京女子大学卒。参議院事務局勤務後、1987年より映像制作プロダクションにて、劇場映画やテレビ番組の制作に携わる。1995年から広報PR会社。2003年有限会社シンを設立。危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。企業・官公庁・非営利団体に対し、平時・緊急時の戦略的広報の立案やメディアトレーニング、危機管理マニュアル作成、広報人材育成、外見リスクマネジメント等のコンサルティングを提供。講演活動やマスメディアでのコメント多数。国交省整備局幹部研修、警察監察官研修10年以上実施。広報リスクマネジメント研究会主宰。2024年より社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科教授。
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注目の記者会見があると、報道関係者から会見についての解説依頼が私に入ります。記者会見のプロがいることに彼らが気付き始めたからです。最近であれば、関西電力の記者会見について解説をしましたが、話の組み立てや回答から彼らはトレーニングを受けていないと感じました。皆さんは、メディアトレーニングという言葉を聞いたことがあるでしょうか。私はこのトレーニングのプロで20年近くの経験があります。一方、2015年、東証と金融庁は、コーポレートガバナンスコードの中に「取締役・監査役のトレーニング」の必要性を明記しました。私は取締役こそ、メディアトレーニングを含めるべきだと考えています。今回はトレーニングの必要性について解説します。
メディアトレーニングとは、記者からのどんな質問に対しても的確にメッセージを発信できる力を身に付ける訓練です。レクチャーは自分のペースで話を組み立てることができますが、インタビューや記者会見となると相手のペースにはまってしまうことで本来自分が伝えたかったことが伝えなくなってしまいがち。ここで失言や誤解を招くとネガティブな報道を引き起こします。その結果、イメージが悪化して信頼失墜、売上低下、経営陣の辞任にまで至ることもあります。平時にはイメージ向上、危機時にはダメージコントールとして機能させることができる大切な能力です。にもかかわらず、日本では重視されてこなかったといえます。
広報を重視する外資企業では、新役員は全員メディアトレーニングを受ける、あるいは、メディアトレーニングを受けていない人は取材対応をしてはいけないというルールを設けており、訓練は当たり前のこととして定着しています。日本では、2000年の食品会社の集団食中毒事件で社長が失言した内容がテレビで繰り返し報道されたことをきっかけにメディアトレーニングの必要性が認知されて導入する企業は増えましたが、全ての上場企業で定着するまでには至っていません。メディアトレーニングを受ければ余計な報道を防ぐことができ、ダメージを最小限に抑えることができることから、企業におけるリスクコントロールという意味では必要な訓練である、と私自身は2003年から自分のウェブサイトで訴えてきました。
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