風評被害とメディアについて

北見幸一氏

 

電通パブリックリレーションズは広報に関する専門コンサルティング会社で、54 年の歴史があります。メディア対応を軸にしながら、危機管理対応コンサルティングをしています。風評被害の定義は「ある社会問題が、大々的に報道されることによって、本来安全とされるものを人々が危険視し、消費をやめることによって引き起こされる経済的被害」です。これは最初のスピーカーである関谷先生の著書に書かれていたことです。大々的に報道されればされるほど風評が広がるところが大事になります。

本日のテーマにもあるレピュテーションを日本語で言うと、評判、第三者の評価、あるいは風評となるかもしれません。事実、ファクトがあり、そのファクトがコミュニケーション、メディアを通じて報道されることで風評、レピュテーションが発生します。コミュニケーションで重要なのは、やはりメディアです。

SNSからまとめサイト、そしてテレビ新聞

風評の流れは、まずはネット上でFacebookやTwitterなどに書き込まれます。次の段階は書き込まれたものがまとめサイトに掲載されます。我々はソーシャル上の情報を取り上げるメディア、たとえばJ-CASTニュースやガジェット通信などをミドルメディアと呼んでいます。このミドルメディアが取り上げて話題が大きくなると、今度はテレビや新聞で取り上げられて、社会問題化していくのが一般的な流れになります。

風評被害とは違いますが例をあげると、2011年にスカスカなおせちが届いた悪質な事件が起こりました。このときは、まず、ソーシャル上で口コミとして書き込まれ、その後ミドルメディアでまとめられて、それをいち早くテレビが報じました。そして、オンラインメディア、テレビ等々で次々に報道され拡散して、いろいろなところで話題になり、炎上したわけです。起きてから3日で社会問題化しました。これは2011年のことなので、今はもっと早くなっています。1日で社会問題化する可能性があるということです。

早期に察知しマネジメント

風評の動きを早期に察知できる体制を整備することが大切です。そして、それをマネジメントすることが重要です。我々が独自に開発した危機管理ペンタゴンモデルは、危機管理に重要だと考える5つの力をもとに分析します。5つの力とは「リーダーシップ力」「予見力」「回避力」「被害軽減力」「再発防止力」になります。リーダーシップ力はクライシス全般に必要な力です。予見力、回避力はクライシスが発生する前の準備段階でどのようなことができるかという力です。クライシスが発生した後が、被害軽減力と再発防止力になります。