2016/09/29
誌面情報 vol56
不祥事対応における風評発生メカニズム
私のいるエス・ピー・ネットワークの総合研究室は危機管理体制の構築のコンサルティングや緊急事態発生時に企業の対策本部に対する様々な対応を支援・助言しています。企業にとっては不祥事を起こすこと自体が評判を落とすことになります。その後、記者会見を含めて、緊急事態の対応を間違えてさらに評判を落とすことが一番まずいパターンです。皆さんも、日々のいろんなニュースや事例を見ていておわかりかと思います。
風評起因の4領域
風評の起因を便宜的に分けると4領域に分類できます。「企業活動の内実」「(企業活動の)アウトプットの品質」「統制環境レベル」「危機管理体制」になります。それぞれの領域で高・中・低とレベル判定ができます。危機管理体制だけでも高レベルになっていれば、不祥事は本来発生しないはずです。ただし、自分たちは高だと勘違いしていて(甘い自己査定)、実際には中や低レベルに留まっていると不祥事が発生しやすくなるのです。この4 領域すべてが企業の信頼性を決定します。各領域でレベルが低いままでいると、徐々に風評が形成(あるいは固定)され、続いて不祥事が発生し、さらに風評被害が出ると最悪の場合は倒産に至ります。企業としては、絶えずこの4つの領域で「高」判定を目指すべきです。
企業イメージの形成要因
次に各企業が持たれている企業イメージを、そのイメージ形成要因としての評判の良し悪しとその判断情報の信憑性の高低に分けて分析すると、良い評判が正しい情報と正しい判定基準に裏打ちされていれば、健全なレピュテーションマネジメントが機能していることになります(先の4 領域での「高」判定にも繋がります)。悪い評判の場合は、レピュテーション(reputation)よりルーモア(rumor)と表現したほうが正確ですが、これは、まさに風聞や流言を意味します。もし、企業にとってマイナスの風評(ルーモア)が広がっていても、その内容が正しく、事実であれば、リスクマネジメント自体が欠落していたことになります。
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