2016/07/25
誌面情報 vol56
必要備品はすべて備蓄済み
広大な工場の敷地の一角に災害対策本部となる平屋の建屋がある。工場からは数百メートル離れている。火災などが発生しても安全に対策ができるよう、十分な距離を取って建設されているのだという。
内部は、対策本部の会議スペース部と倉庫部で構成され、災害時に必要な設備器具もすべてここに備蓄されている。机の上には大きなマグネットボード上に工場の配置図が置かれ、「火災」「爆発」「漏えい」「負傷者」などと書かれたカラーマグネットが整列されている。災害時には、この地図で被害状況を確認できるようになっている。
壁には、「時間ごとに報告された状況が書き込めるボード」「部門ごとに出勤者、安否確認の状況、不明者・負傷者の状況が書き込めるボード」「災害情報・安否情報・建物被害・負傷者が一覧で整理できるボード」が掛けられている。さらに「指揮本部」「救急救護」「本部統括」「伝令」「機動グループ統括」など対策本部の役割が書かれたビブスがハンガーに吊るされている。
資機材も完璧だ。ヘルメット、ヘッドライト、懐中電灯、ランタン、医薬品、担架、被災者用ベッド、衛星電話、PHS、無線、大型発電機、夜間の工事現場などで見かけるバルーン投光機、パンクレスタイヤを装備した自転車、消火器、救助工具、テレビ(情報収集用と情報提供用)、PC用モニタ、ラジオ、ゴーグル、高性能マスク、ロープやバリケードテープ、カラーコーン、大量の予備乾電池、大量のブルーシート、非常用トイレ(もちろんトイレットペーパーも)、ストーブ、燃料、炊き出し用機材、水、食料……。帰宅困難者が大量に出ることも想定し、全従業員が3日間生活できる環境が整っている。災害を想定して相当力を入れていることは一目で想像がつく。大量のブルーシートは阿蘇山が噴火した際に、工場への灰の侵入を防ぐ目的で用意されたものだ。
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