2019/07/25
ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情
テロリストによる悪用も
特に私のように過去、数々の様々な災害現場や救急現場で、悲惨な状態のご遺体や事故に遭って重傷を負った人々、虐待を受けて複雑骨折を受けた子どもや加害者の親などを直接見てきた人間にとっては、関わっていない惨事報道内容から、火災現場であれば、火災の煙を吸った苦しさや熱気による喉のやけどの乾いた痛さ、折り重なった焼死体の映像や温度、焼けた匂いなどまで、スクリーンを通じて伝わってきてしまう。
たぶん、災害現場で活動経験がある人たちは、それぞれの惨事体験から、同じような感覚を得てしまうのではないかと思う。
■第1章 各国政府の有害情報に対する規制の現状(政府の規制、民間による規制、出典:内閣府資料)
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikou/h26/pdf/s1-1.pdf
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikou/h26/pdf/s1-2.pdf
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikou/h26/pdf/s1-3.pdf
下記のイギリスの資料によると「惨事報道等、ネガティブで暴力的な報道は青少年に限らず、誰もが深刻で長期的な負の心理的影響を与え、それは単に被災者に悲観的になる、あるいは加害者や犯人を非難するといった心に痛みを伴うような感情をもたらすだけにとどまらず、自分が体験していないにもかかわらず、メディアを通じて、ストレスや不安、抑うつ症状、社会への反発や憎しみなどを増大させ、強い衝撃的なマイナスの刺激を受けた際には、人の感情に大きな影響を及ぼし、急性ストレス障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こす要因にすらなる」としている。
さらに、特に悲惨でどうすることもできないと感じさせるネガティブなニュースは視聴者に「生きていることのむなしさ」や「人の残虐性などに自分もいつか被害を受けるのでは」など、突きつけるような個人的な不安を与えるなどの影響を及ぼす可能性も高いとしている。
■Harm and Offence in Media Content A review of the evidence(メディアコンテンツの有害性と違法行為における証拠のレビュー)
http://www.lse.ac.uk/media@lse/WhosWho/AcademicStaff/SoniaLivingstone/pdf/Livingstone-HarmandOffence-ebook.pdf
このまま、惨事的報道内容についてのコード規制や年齢などのレート規制されず、またはSNSなどで、スクロールするたびに自動的に現れるネガティブなニュースなどを無意識に見続けると、健康な心に影響を及ぼし、当事者や周囲の人々、社会に対してより悲観的な感情を持ってしまい、今とこれからの自身や家族の不安や子供の将来の不安を、より脅威的で深刻に感じてしまう傾向が強まるのではないか?
社会の仕組みや政治もあり方が変わりそうにないことなど、いったん気になったことが心配に変わり、いつも頭に残ってついSNSの投稿などで、感情のままの言葉や文で表現したりすることを始めると、不安が様々なベクトルで一人歩きを始め、セルフコントロールするのが難しくなってしまい、事実よりも惨事内容が大きくなったり、ネガティブなストレスが負の連鎖を起こし、関係の無い他人にも感染してしまうような気がする。
下記のビデオによるとテロリストグループや犯罪企図目的の宗教団体などは、新しく勧誘するターゲットハンティングとして、SNSやブログなどでネガティブな発言をしている人たちをソフトを使って抽出し、そのターゲットの思考傾向に応じた勧誘手法で、次々に新規賛同者の獲得に成功している。
Analyzing Terrorist Mass Communications & Social Media Implications | American Military University(出典:Youtube)
日常的な惨事報道を視聴者がもっと具体的に行えるようなソフトやアプリ、チャンネル統制や番組内容の選択など、社会的な仕組みを作ることで、子どもたちを有害情報から守り、成人においてもストレスの減少に繋がり、社会を構成する人々がポジティブな気持ちで、明るくなることで、経済の成長もプラスになっていくのでは無いかと思う。
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