ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情
消毒用アルコール製品による火災について
アルコールは危険物 取り扱いに気を付けよう
一般社団法人 日本防災教育訓練センター 代表理事/
一般社団法人 日本国際動物救命救急協会 代表理事
サニー カミヤ
サニー カミヤ
元福岡市消防局レスキュー隊小隊長。元国際緊急援助隊。元ニューヨーク州救急隊員。台風下の博多湾で起きた韓国籍貨物船事故で4名を救助し、内閣総理大臣表彰受賞。人命救助者数は1500名を超える。世田谷区防災士会理事。G4S 警備保障会社 セキュリティーコンサルタント、FCR株式会社 鉄道の人的災害対応顧問、株式会社レスキュープラス 上級災害対策指導官。防災コンサルタント、セミナー、講演会など日本全国で活躍中。特定非営利活動法人ジャパンハート国際緊急救援事業顧問、特定非営利活動法人ピースウィンズ合同レスキューチームアドバイザー。
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新型コロナウイルスの感染予防対策として、手指の消毒用アルコールを100円ショップなどで購入した小型の透明容器のアトマイザーに入れて、持ち歩く人が増えているようだ。しかし世界各国の消防本部で、消毒用アルコールの使用時・保管時などの取り扱いに関する火災事故が増える可能性が高いとして、さまざまな注意喚起が行われている。
消毒用アルコール製品は、危険物の第4類(引火性液体)で、液体から出る蒸気が空気中の酸素と混ざり、火種を近づけると引火し、燃焼する。火災については大きく3つの要因がある。
1. 蒸気への引火
厚生労働省は新型コロナウイルスの感染対策としてアルコール濃度70%以上の消毒液を推奨しており、市販の手指消毒用アルコール(濃度70%以上の飲料用アルコールを含む)の多くは灯油や軽油よりも引火しやすく、危険物に当たる。
起こり得るケース:
・消毒用アルコールを手指に付けてすぐにタバコの火を付けた際、アルコールの蒸気が引火して、着衣に燃え移ってやけどし、慌てて服を脱ぎ捨てた受傷者が火を消そうとして、さらに周囲の可燃性物品に燃え移り、車内や自宅が全焼する可能性。
※アルコール類の炎は青白いため、周囲の照明や太陽光によっては炎が見えにくく、気付かずに着衣着火して、全身やけどする事故が毎年発生している。
・買い物から帰ってきて、野菜や肉のパッケージを消毒用エタノールスプレーなどで消毒し、さらに、手指に消毒用アルコールを付けてすぐに台所で火を使った調理を始めたところ、アルコールの蒸気に引火後、着衣に引火し、火災に至る可能性。
・自宅や事務所での消毒用エタノールの詰め替え時に、着衣やプラスチックの静電気による着火や床面などにこぼしてしまったアルコールへの引火の可能性。
など
<着衣着火についての過去記事参照>
「寒い季節、女性に多い「着衣着火」のやけど被害」
https://www.risktaisaku.com/articles/-/14102
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