(イメージ:写真AC)

新型コロナウイルスの感染予防対策として、手指の消毒用アルコールを100円ショップなどで購入した小型の透明容器のアトマイザーに入れて、持ち歩く人が増えているようだ。しかし世界各国の消防本部で、消毒用アルコールの使用時・保管時などの取り扱いに関する火災事故が増える可能性が高いとして、さまざまな注意喚起が行われている。

消毒用アルコール製品は、危険物の第4類(引火性液体)で、液体から出る蒸気が空気中の酸素と混ざり、火種を近づけると引火し、燃焼する。火災については大きく3つの要因がある。

1. 蒸気への引火

厚生労働省は新型コロナウイルスの感染対策としてアルコール濃度70%以上の消毒液を推奨しており、市販の手指消毒用アルコール(濃度70%以上の飲料用アルコールを含む)の多くは灯油や軽油よりも引火しやすく、危険物に当たる。

起こり得るケース:
・消毒用アルコールを手指に付けてすぐにタバコの火を付けた際、アルコールの蒸気が引火して、着衣に燃え移ってやけどし、慌てて服を脱ぎ捨てた受傷者が火を消そうとして、さらに周囲の可燃性物品に燃え移り、車内や自宅が全焼する可能性。

※アルコール類の炎は青白いため、周囲の照明や太陽光によっては炎が見えにくく、気付かずに着衣着火して、全身やけどする事故が毎年発生している。

・買い物から帰ってきて、野菜や肉のパッケージを消毒用エタノールスプレーなどで消毒し、さらに、手指に消毒用アルコールを付けてすぐに台所で火を使った調理を始めたところ、アルコールの蒸気に引火後、着衣に引火し、火災に至る可能性。

・自宅や事務所での消毒用エタノールの詰め替え時に、着衣やプラスチックの静電気による着火や床面などにこぼしてしまったアルコールへの引火の可能性。

など

<着衣着火についての過去記事参照>

「寒い季節、女性に多い「着衣着火」のやけど被害」
https://www.risktaisaku.com/articles/-/14102