2014/09/20
C+Bousai vol1
4.事業者の地域コミュニティとの協力関係
次に、2014年1~3月に内閣府が実施した郵送調査である「平成25年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」を分析しています。
本調査は、企業の事業継続計画(BCP)の作成率を調べるために隔年で実施されてきたものですが、本年より、事業者と地域コミュニティの関係についても分析を行っています。
その中では、事業者による地域コミュニティとの連絡体制の構築、災害時応援協定の締結などの動きがみられることから、事業者の地域コミュニティとの協力関係の構築が進展しているとしています(図3参照)。
5.まとめと今後の方向性
上記を踏まえますと、①地域活動(地緑活動)と防災活動との関係の強化、②地域コミュニティと行政の連携、③事業者と地域コミュニティとの協力関係の構築が、地域コミュニティ全体の防災力の向上につながるということになります。
そして、これらを受けて、地域防災力の向上を図るため、2013年の災害対策基本法の改正で創設された地域コミュニティの住民および事業者による自発的な防災計画である「地区防災計画制度」を普及させる必要があるとしています。
また、地域防災力を強化するためには、地域コミュニティの活性化が必要ですが、防災をきっかけに地域コミュニティのソーシャル・キャピタル(①人的なネットワーク、②お互い様の意識〈規範・互酬性〉、③相互の信頼関係の要素を中心に社会的な効率を高めるもの)が活性化しています。地域コミュニティの活性化と地域防災力の向上は、表裏一体の関係にあることから、今後は地区防災計画制度が、地域防災力の向上だけでなく、地域コミュニティの活性化を通して、地区の実情に応じたきめ細かいまちづくりにも寄与する可能性があるとしています。
最後に、今後は自助・共助による「ソフトパワー」を強化するとともに、地域コミュニティにおけるソーシャル・キャピタルを促進することによって、地域防災力の向上と地域コミュニティの活性化が期待されるとしています。
C+Bousai vol1の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方