2019/07/01
安心、それが最大の敵だ

震災ネットワークの「水害にあったときに」
「水害にあったときに」(震災がつなぐ全国ネットワーク作成、本部・名古屋市)は「浸水被害からの生活再建の手引き」の副題がついている。極めて現実的かつ具体的な対処の仕方を助言しているところに大きな特徴がある(こちらは大人向けの分かりやすいイラストが掲載されているのだが割愛する)。
1.被害状況の写真を撮る
・被害の様子が分かる写真を撮る。
・家の外をなるべく4方向から、浸水した深さが分かるように撮る。
・室内の被害状況も分かるように撮る。
2.施工会社・大家・保険会社に連絡
・家の施行会社や大家に、家が浸水したこと、浸水のおおよその深さを伝える。
・火災保険や共済に加入しているときには、担当者に連絡する。
※どの火災保険会社に入っているかわからないときは下記へ問いあわせましょう自然災害等損保契約紹介センター(一般社団法人日本損害保険協会内)。
http://www.sonpo.or.jp/efforts/adr/icrcd/
3.罹災証明書の発行を受ける
・市役所・町役場に浸水したことを申し出る。
・被害認定の調査を受ける。
役所に自宅が浸水したことを申し出ると、市町村職員などによる被害調査が行われ、住家の被害程度を証明する罹災証明書が発行されます。罹災証明書は後で公的な支援を受ける際に必要になります。(「被害認定の目安」によれば、木造戸建て住宅の床上浸水では、浸水の最も浅い部分で、(1)床上180センチ以上=全壊(2)床上100センチ以上180センチ未満=大規模半壊(3)床上100センチ未満=半壊(4)床下浸水=一部損壊。
4.ぬれてしまった家具や家電をたかたづける
・かたづけはゆっくり
上下水道、電気やガスが復旧していないと、思うようにかたづけができません。疲れもたまるので、慌てずに行いましょう。
・作業の後には手指を消毒
水害後は砂やほこりが舞っています。マスク、ゴム手袋を身につけ、こまめにうがい消毒を。
・ゴミ捨てのルールは普段と異なる
ゴミ捨てのルールは市町村のチラシや災害FMなどで伝えられます。使える袋の種類や捨てる場所など、正しい情報を得ましょう。
・ボランティアにお願いする
多くの人が手伝ってくれます。ボランティアセンター、市町村、社会福祉協議会に相談しましょう。
(再利用が難しい物:畳・じゅうたん・布団、木製の棚・・・、使えるかもしれない物:ふすま・障子・トイレ・風呂釜・食器類・エアコン室外機)。
(汚れた現金は、一定の条件のもと、新しいお金に換えてもらうことができる。災害のあとは、通帳や印鑑がなくても便宜的に支払いに応じてくれることがあるので、取引銀行や金融機関に相談する)。
5.床下の掃除・泥の除去・乾燥
ぬれた家をそのまま放っておくと、後からカビや悪臭が発生し、生活に支障が出る場合があります。まず床下の状態を確認してください。自分でできない場合は、施工業者やボランティアに作業をお願いしましょう。
6.掃除をするときの服装
基本は肌の露出をさけること。ヘルメット(帽子)、マスク、ゴム手袋、長靴・・・。
7.復旧のまえに確認すること
(1)電気(ブレーカー)
・水害の後にブレーカーが落ちていたら、どこかで漏電しているかもしれないため、電力会社に相談する。
・避難などで家を離れるときはブレーカーを切っておく。
(2)水
・水道復旧直後は水が汚れている場合があるので、しばらく流す。
・井戸水は水質検査が終わるまで飲まない。
・浄化槽の場合は、トイレや風呂を使う前に点検する。
(3)ガス
元の位置から動いてしまったプロパンガスのボンベは、復旧をする前にガス業者に点検を依頼する。
いずれもすぐにできる助言である。「いかに高邁な理論でも、普段はもとより緊急時に、すぐに役立たなければ空論に等しい」とは高名な文芸評論家の言葉であったと記憶する。
謝辞:防災科学技術研究所の文献・資料を参考にさせていただいた。感謝申し上げたい。
※お詫び 2ぺージ目の「罹災証明の発行を受ける」について、現在の基準が反映されておりませんでした。赤字の通り訂正させていただきます。最新の情報については下記をご参照ください(2019年7月4日)。
http://blog.canpan.info/shintsuna/archive/1420
(つづく)
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