身近にある「危険物施設」に備える
全国に41万651施設、豪雨でアルミ工場爆発
香川大学/
IECMS地域強靱化研究センター准教授
磯打 千雅子
磯打 千雅子
香川大学博士(工学)。2015 年度地区防災計画学会室崎賞(論文賞)を受賞。専門分野は地域防災、BCP、DCP(地域継続計画)、地区防災計画。香川県防災会議委員、国土交通省四国地方整備局四国建設業 BCP 等審査会委員、香川県中小企業BCP優良取組事業所認定制度審査委員、香川地域継続検討協議会委員・事務局、 内閣府地区防災計画アドバイザリーボード委員、地区防災計画学会理事、NPO法人女性技術士の会理事。著書に「地域と企業」など。
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突然ですが、お隣やご近所にある会社は何をしている会社がご存じですか?
社名からおおむね推測はできるでしょうが、建物の壁の向こう側、見えない室内に何があるのか、何をしているかは全然分かりませんよね? 自社と業種が違えばなおさらだと思います。
今回は、意外と身近にたくさんある“危険物施設”について、どう付き合っていけばいいのか、平成30年7月豪雨災害の事例をもとに考えてみたいと思います。
意外と身近な危険物施設
平成30年7月豪雨災害では、岡山県総社市内のアルミ工場が爆発し、周辺地域に被害が及びました。爆発した工場は、いわゆる「危険物施設」でした。危険物施設とは、危険物に関する法令で決められた指定数量以上の危険物を製造、貯蔵、取り扱いを行う施設をいい、例えばガソリンスタンドやタンクローリーなども該当します。この危険物施設。かなりの数があることをご存じでしょうか?
なんと、全国に41万651施設!(※1)
恐らく工業団地などに集中しているのでしょうけれど、町内会の数が全国で20~30万とされていますから、ざっくりいうと一つの町内会に1カ所以上ありそうな数ですね。それにしても数の多さに驚きました。
危険物施設の事故というと、2011年東日本大震災における原子力発電所の事故が頭に浮かびますが、実は過去の自然災害による被災で多くの事故が発生しています。
危険物施設における事故発生状況の推移※2
※1 消防庁「平成29年中の危険物に係る事故の概要」
※2 平成29年版消防白書をもとに筆者が作成
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