2019/05/23
昆正和のBCP研究室
■倉庫内の防災対策
通販の成長とともに物流拠点にある倉庫は大型化している。一度被害を受ければ商品供給の機能不全が長期化する。2017年2月に起こった大規模な「アスクル倉庫火災」では、完全復旧に半年以上を要し、損害額は101億円余りと言われている。出火原因はフォークリフト車のエンジンルーム部分に段ボール片が巻き込まれて発火するというきわめて特殊な事例ではあった。
しかしこのボヤ程度の火災を拡大させた原因として、近くに違法な量の危険物(殺虫剤など)や段ボールの山があったことも指摘されている。
上記は火災についての話だが、倉庫の地震対策はどうだろうか。たとえば中小の運輸・倉庫業では、倉庫内の荷崩れ対策を講じていないことが多い。というのは、トラックで集荷した荷物はフォークリフトで倉庫内に仮置きされ、半日も絶たないうちに別のトラックに移し替えて出荷するからだ。倉庫内が空っぽの時間帯も少なくないという。私が訪問した会社は製紙業が盛んな愛媛県四国中央市にあり、紙製品が多いことから、荷崩れによる損害リスクはある程度許容できると担当者は述べた。
一方、自社で生産し、出荷を待つばかりの製品が災害でダメージを受けることについては果たしてリスクを許容できるだろうか。筆者は2011年の東日本大震災の余波を受けたある自動車電装品メーカーの倉庫で、高価な電装部品の一部が荷崩れを起こして何十台も破損しているのを見たことがある。
倉庫の積み荷などは、積み荷の高さを制限したりパレット脱落防止金具などを取り付けたりすることで、ある程度荷崩れを防止できる。また前に述べたように、天井クレーンは構内が被災したときにガレキの撤去などに威力を発揮するので、脱輪防止装置などをつけておくにこしたことはない。
(了)
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