人員・装備とも厳しく

ワークショップでは、その現場の消防士たちから、さまざまな「現状課題」「改善提案」「改善結果・ゴール」「リスク」について、具体的な内容を発表していただいたので、下記の通り共有したいと思う。

■消防組織の7S発表内容
https://irescue.jp/PDF/FD7S.pdf

以下は、総務省消防庁が作成した小規模消防本部についての資料だ。直面する現状の課題に悩まされている場合には、このなかにヒントがあるかもしれない。同時に所属消防本部においては、「何が改善可能か」などの具体的な洗い出しが必要である。

■第2章 今後の消防本部のあるべき姿
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h18/180117-3/3/180117-3-3-2.pdf

■小規模消防本部の問題点
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h18/180117-3/3ref/180117-3-3-ref15.pdf

■人口構造の変化等が消防救急体制に与える影響及び対応
http://www.soumu.go.jp/main_content/000578736.pdf

ワークショップでは、組織全体が直面している課題の解決までは至らなかったが、参加者がそれぞれの所属署や担当部課で具体的な計画立案や改善企画を行うための参考になったのではないかと思う。

なかでも、現場活動での活動隊員のリスクについては議論が白熱することが多かった。5万人以下の消防本部では、3名体制でポンプ車のみを運用、ポンプ車と救急車を乗り換えるなど、消防力の整備事情に応じてさまざまな体制で現場出動している出張所がかなりの数存在していること、人員確保が厳しい状態で日々消防活動を行っていることを知った。

小規模消防本部においては、人口減少による過疎化などが、人員確保を難しくしている大きな原因ともなっている。消防本部によっては、市町村の意見を聞かずに府県レベルでほぼ強引に進めてしまった消防の広域化が、結果的に消防力の低下や職員のストレス増大につながっているようだ。

また、広域化については職員の負担も課題になっている。たとえば、家族を持つ職員の通勤時間が片道1時間〜1時間30分で、職員の2割近くは年間300時間以上通勤のために自動車を運転しているというケースでは、家族の事情や本人の通勤時間に起因するさまざまなストレスが増大したほか、地域事情がわからない異動先の道路で緊急走行時に事故を起こすことや、急な広域化による人事異動で職員間の人間関係に摩擦が生じることなどもあるらしい。

なかには、職員が集まって「広域化前に戻してほしい」と意見書を作成し、上級幹部に相談したというケースも聞かれた。しかし幹部からは、職員たちの気持ちを汲み取るような言葉もなく、「今さら無理だ。慣れるしかない」と素っ気なく答えられたという。その後もストレスの改善策などが検討されることもなく、離職・転職を考えている若手職員が後を絶たない。

広域化による共同指令センターの運用指針で、「現場によっては火災対応優先」という指示があったため、直近署所の所長は消防車と救急車の乗り換えを行うべきと判断し、残された救急車は非番招集や消防団、退職者の登録制非常勤務にて運用されているところもあった。