2019/03/07
昆正和のBCP研究室
■"災害"が私たちの意識から遠のいてしまう理由
ここ数年(ワイドショーなどは別として)、災害報道がめっきり減ってしまったが、これも私たちの意識に何か変化を与えている要素の一つだろうか。例えば2018年7月に起こった西日本豪雨災害の時のこと。
気象庁がこれまでにない危険な豪雨災害が起こりつつあると発表する中、全国ネットの大手テレビ局はどのチャネルもいつも通りのバラエティ番組一色だった。NHKですら番組の枠外にテロップで流していただけである。以前ならばただちに災害報道特別番組に切り替わったものだが。この頃、タレントのカンニング竹山氏がツイッターで「他人事みたい」「終わってんな…」とつぶやいたそうだが、多くの人が同様の違和感を感じていたはずだ。
視聴率がとれなければ放送する意味がない。国民に危機を知らしめる義務や使命感よりもスポンサー企業が望む番組を流し続ける方が大事である。放送局があからさまにこのように考えているわけではないだろうけど、昨今の報道姿勢を見る限り、視聴者からそう誤解されてもしかたのない現実がある。
一方、私たちにも、自発的に災害情報を避ける意識が働いていることは否定できない。過去の情報にしてもこれから起こることを警告する情報にしても、災害情報というのは不安をあおり、気持ちを暗くするものだ。なるべく見聞きしたくない。そもそも一般市民にとって災害情報はこちらからわざわざ取りに行くものでもない。すべてニュースやアラートとして何もしなくても向こうから飛び込んできてくれるのだから。
このように思っていると、あなたの情報アンテナからは災害に関する情報はスッポリ抜け落ちてしまう。その結果、防災意識も危機に備える姿勢も薄まってしまうのである。先ほど述べたネガティブなアンケート結果などは、こうした理由も関係しているのではないだろうか。原因がどこにあるにせよ、災害が私たちの意識から遠のいてしまうという今日の現実は、もう一つの危機的事態と呼んでも過言ではない。
(了)
- keyword
- BCP
昆正和のBCP研究室の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方