2017/03/06
災害から命を守れ ~市民・従業員のためのファーストレスポンダー教育~
【第1章】災害準備編~本当に準備するべきことは?!
【減災のためのアクション】
第1章前編で解説したように、自宅、学校、職場などではある程度減災のための事前準備が可能である。高額な設備投資を必要とするものもあれば、手軽にできることもある。まずは、できることから始めよう。
●家具、ブロック塀等の固定
●オフィスにあるコピー機や棚の固定
●食器棚等、収納家具のドアの固定
●ガス・電気・水道などの元栓明示
●暖房器具等ガス器具の配管
●自宅、会社の耐震診断と耐震・免震化
●※セーフルーム(Safe Rooms)の建設
※セーフルーム(Safe Rooms):米国連邦危機管理局(FEMA)が推奨する自宅の補強手段でハリケーンや竜巻などの際に緊急に避難できる自宅内のシェルター。自宅内にこのような一角を設けることで家族の命を守る大きな助けとなっている。
災害対策基本法、米国大統領防災計画指針等で示されているように、災害対応は全てのステークホルダー(利害関係者)が積極的に参加して初めてその機能を発揮する。他人事、人任せであってはならないという意識改革が最も重要だ。防災訓練に嫌々参加する、当事者意識が無い、何かあったら警察・消防・自衛隊が助けてくれる、災害対応は国や自治体の責任だ、などと人によってその考え方は様々である。これは簡単に解決できる問題ではないかもしれない。今後あらゆる角度から防災、災害対応に関わる啓蒙活動を推進していく必要があるだろう。まだまだ提言したい事項はあるが、ここでは基本的な推奨事項に触れ第1章のまとめとしたい。
●あなた(または会社)の作成した防災計画が自治体等の防災計画と整合性のあるようにする。
●自主防災組織等、一般市民一人ひとりの災害対応能力を向上させるための正しい訓練プログラムを標準化し浸透させる。
●家族近隣住民で地域の防災訓練、・公共のイベント等に積極的に参加する。
●様々な状況の訓練を経験することが唯一災害発生時の実践に役立つことを認識する。
●友人や家族と積極的に災害ボランティア活動に参加し準備する。
●友人・家族と協力して居住地区の潜在的な危険を話し合う。災害規模の大小に関わらずどのようなステップと手段で協力体制を確立すればよいのかを検証する。
●自宅、職場、学校などの防災計画を確認する。
次回は「災害心理学」について紹介する。災害時に人間が陥り易い傾向とパターンを心理学的に解析することにより、各人が意識的に命を守るための行動を取れるようにするための手法を解説する。
参考文献:
•COMMUNITY EMERGENCY RESPONSE TEAM. Basic Training Instructor Guide. FEMA. DHS
•災害対策基本法新旧対象条文
•Overview of the National Planning Frameworks. DHS
•国土強靭化の推進に関する関係府省庁連絡会議にて「国土強靭化(ナショナルレジリエンス)推進に向けた当面の対応」の骨太方針
•Ready Army http://www.acsim.army.mil/readyarmy/
•Safe Rooms http://www.fema.gov/safe-rooms
•市民救助隊養成講座テキストブック
(了)
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