発生7日目も延焼が続き、平成以降最大規模となった岩手県大船渡市の山林火災。専門家は、断続的に吹き続けた風や険しい地形、乾燥した腐葉土が拡大の一因とみている。
 同市では火災が発生した2月26日に最大瞬間風速18.1メートルを観測し、その後も強風が吹き続けた。山林火災に詳しい東北大流体科学研究所のサミュエル・マンチェロ客員教授は「強風下では数キロ先の建物や森林に飛び火するため、消火を難しくしている」と説明。乾燥した山の腐葉土も延焼の一因とみており、「枝や葉が細かく積み重なり、着火しやすい」と分析する。
 三陸地方沿岸は急斜面が続く地形になっている。森林総合研究所(茨城県つくば市)の玉井幸治研究ディレクターは「風や地形が延焼速度に与える影響は大きい」と指摘。シミュレーションでは風速2メートルの時に比べ、延焼速度が風速6メートルで約10倍、8メートルで約20倍になった。また、平たんな森林に比べ、傾斜30度の森林では約1.5倍、40度では約2倍になったという。 
〔写真説明〕山林火災現場に放水する陸上自衛隊のヘリ=2月28日、岩手県大船渡市(防衛省提供・AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)