岩手県大船渡市の山林火災で28日も懸命な消火活動が続いた。県災害対策本部や市によると、焼損面積は約1200ヘクタールに拡大し、少なくとも84棟の建物が延焼した。この日は自衛隊の大型ヘリを4機に増やし、宮城、山形、青森各県などからの緊急消防援助隊などと共に、上空から消火を急いだ。
 火災は26日午後1時ごろ発生。同市内の赤崎町と三陸町綾里で出火が確認され、市は873世帯2114人に避難指示を出した。27日午後には赤崎町の複数の地区の467世帯1192人にも追加で避難を指示し、市によると、同日午後10時時点で877人が小学校や公民館などに避難した。
 ライフラインにも影響があり、約600軒で停電し、約40戸で断水している。
 火災では同市三陸町綾里で男性1人の焼死体が見つかっている。
 公民館に避難した熊谷あけみさん(67)は「(自宅は)だめだと思う。諦めている」と肩を落とした。「東日本大震災が落ち着いて、安心したところに火災が起きた。悔しいが、前を向いて進むしかない」と話した。
 母親と避難したという漁業関係者の男性(55)は「横にはなったが、寝られなかった」と疲れた表情を浮かべ、「自宅が心配なので、どこまで延焼しているかなど情報が知りたい」と訴えた。 
〔写真説明〕避難所で山林火災のニュースを見詰める女性ら=28日午前、岩手県大船渡市
〔写真説明〕煙が上がる岩手県大船渡市の山林火災=28日午前
〔写真説明〕岩手県大船渡市の山林火災で煙が上がる山肌=28日午前

(ニュース提供元:時事通信社)