ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情
-
水害時のレスキューバスケットの有効性について
今年5個目の非常に強い勢力を持つ台風24号(チャーミー)が、週末には沖縄・先島諸島付近へ向かっており、最接近する予想が出ている。 その後、来週は本州付近に影響が出る可能性が出てきた。本州付近には秋雨前線が停滞し、活動が活発になるため、暴風や大雨、高波、高潮が長時間続く恐れもあり、今後の動きに厳重な警戒が必要と気象庁が発表している。
2018/09/26
-
火災防御のタイムラインについて。Time is Life (時は命なり)
火災防御は時間との闘いだ。先着隊の初動が早ければ早いほど、救命率は上がる。要救助者が怪我をしていれば悪化を予防し、被災していない財産を守ることが出来る。 だが、火災防御力を上げるための訓練施設は限られている。昔のように古タイヤや廃材を訓練棟内で燃やして、黒煙を出すことも出来ない。スモークマシンによる白い煙と水は出せたとしても、実火災の熱や濃煙を体験できる施設は少ない。
2018/09/12
-
子供たちの命を守るために!学校の防災・危機管理について
今年の8月20日、埼玉県草加市新田中学校、小学校のほか幼稚園や保育園の先生約80名が集まって、地域の災害特性を踏まえた学校防災(特に地震と綾瀬川氾濫対策)として、下記のような内容で防災・危機管理ワークショップを行った。
2018/09/05
-
サルベージオペレーション(消防活動における財産の保護)について
消防法の第一条に「この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする」とあるように、火災現場における消防活動の重要な任務として「財産の保護」がある。
2018/08/30
-
竜巻から子供を守るために
先日、埼玉県草加市新田保育園、幼稚園、小学校、中学校の保育士や先生方、約80名に対して、「本気の学校防災〜あなたのもしも!?が子供を守る〜」と題し、自然災害対策(地震、水害、噴火)と不審者対応、校内テロの対処法などの内容でワークショップを行った。
2018/08/23
-
森林火災に気をつけろ!
今年、欧州では猛暑により一部で気温が40度を超え、干ばつや森林火災が発生。ギリシャでは7月にアテネ近郊で森林火災が発生し、91人が死亡した。 また、連日のようにアジア・欧州などの記録的高温が伝えられており、ロサンゼルス近郊で日中の気温が47℃、トルコで44℃、ポルトガルで45℃、アフリカ大陸では51.3℃まで気温が上がった。 日本でも、京都で39℃、岐阜で40℃越えと日本各地で猛暑に達するなど、世界のいたるところで観測史上最高気温を記録している。
2018/08/09
-
火災防御の初動を有利にするハイドロベントについて
アメリカの火災防御装備は次々に進化している。今回は、火災室内と排煙を同時に行えるハイドロベントをご紹介したい。 もちろん性能が良いからといって、この消火装備をどの現場でも必ず用いると言うことではない。しかし指揮者がサイズアップした後にこの状態であれば、この消火装備と消火フォーメーションを行うということは選択肢の1つとして活用するべきだと思う。
2018/07/25
-
大型特殊自動車免許取得攻略法
先日、ホイールローダーや油圧ショベルなどに乗って公道を走るために必要な、 大型特殊自動車免許を取得した。 取得理由は、これからも起こり続けるさまざまな災害などに消防団員として出動した時に、現地に配備されたさまざまな重機や建機を借りて、災害復興支援できるようになるためだ。
2018/07/19
-
ボディー リカバリー バッグ(BRB)について
平成30年7月豪雨で亡くなられた多くの方々のご冥福を、心からお祈りいたします。 水難事故の場合、現場に駆けつけたご家族への心理的配慮から、要救助者の状態にもよるが、救出後にバスケットストレッチャーなどに載せた要救助者を防水シートなどで目隠しし、警察車両や救急車などに運んでいる。 ただ、ボート上への引き上げや、救助車のクレーンを用いて岸壁へ引き上げる時などに防水シートで隠し続けるのは非常に難しく、特に風が強い日などは防水シートがめくれてしまい、保持するための活動人員も8人くらい必要となる。
2018/07/11
-
救急隊員の労務管理について
ニューヨーク市消防局(FDNY)は、救急隊員の労務環境保護のために下記のサインを救急車のボディーに貼って、市民への理解を深めている。 “FDNY EMTs and Paramedics Are Protected by NEW YORK STATE LAW.Assault is a Felony Punishable by 7 years in prison.” (FDNYのEMT(救急隊員)およびパラメディックは、ニューヨーク州法によって保護されています。暴行は7年間、刑務所で罰せられる重罪です)
2018/06/27
-
消防士たちのキッチントークは貴重な心のセラピー
日本の消防では、昼食に「消防うどん」を作るのが定番だ。私も現役の頃、同じ当務の消防士から1人500円ずつ集めて、昼飯、夕飯、朝飯を昼前から買い出しに行った。天ぷらを揚げたり、モツがたっぷり入った博多モツ鍋うどんを作ったりしていた。味付けは肉うどんに近いが、ニンニクとショウガ、鷹の爪が効いていることが特徴だ。 さて、今回は世界の消防レシピについて紹介する。世界中のほとんどの消防署では、消防士が自分たちで3食作っており、食事当番になった消防士によって、得意メニューや味付けが変わる。中にはカロリーや脂肪、ビタミンなどの栄養までを考え、さらにオーガニックにもこだわっている消防士もいる。
2018/06/20
-
オープンハウスによる地域住民交流について
ニューヨークに住んでいたとき、家の近くにボランティア消防団があり、年に2回、土日に消防署を開放して住民交流を図るためのオープンハウスやパレードが行われていた。 オープンハウスには地域の警察や病院、コーストガードや保安官など、さまざまな地域を守る関係者が集まり、子供向けの展示や体験を行っていた。
2018/06/13
-
消防士のための体力維持増進プログラム
今までにも何度か、消防士のためのフィットネスプログラム等を紹介させて戴いたが、今回、カナダの国防省が発行した「消防士のための体力維持増進プログラム」は、消防現場活動出活用する器具に応じた筋肉の付け方、また、さまざまな消防現場で必要な筋肉を維持増強させることを目的とした内容で、とてもよく考えられている。
2018/06/06
-
消防士の熱中症予防対策、リハブ(体力調整)ユニットについて
これからのホットな季節、燃え盛る火災現場で輻射(ふくしゃ)熱にあおられながら防御活動を行う消防士たち。夏冬兼用の防火衣の上下と空気呼吸器、縛帯、小綱、カラビナ、ライトなどの個人装備を身につけ、長時間の現場活動に従事しなければならない。
2018/05/31
-
消防士の水難救助活動中の事故を防ぐサイズアップについて
総務省消防庁の2017年の救急・救助の現況によると、2016年に全国で出動した水難事故件数は5184件、そのうち、要救助者の搬送人員は2341人となっている。
2018/05/23
-
米国における消防士の訓練カリキュラムについて
講演や研修などで日本全国を回っていると、世界の消防士たちは消防学校や消防の職場で「どのような基準で、年間を通じて各種訓練や教養の授業」を受け、「どんな評価システムで、消防士の現場対応レベルを継続的に保っているのか」と質問を受ける。
2018/05/17
-
海外での感染症を防ぐ「クロスドミナンス」
いよいよ待ちに待ったゴールデンウィークですね。なかには9連休を取られた方もいらっしゃるようで、ステキだと思います。 私は年に十数回、海外安全調査などの仕事で海外に行きますが、特にアジアや南米へ行くときには、場所にもよりますが、日本では発生していない動物や蚊・マダニなどが媒介する病気が流行していることがあり、いつも注意しています。
2018/05/02
-
仲間を称え繋がる証し。チャレンジコイン (Challenge Coin) について
出典:Las Vegas Fire Departmentアメリカの消防士達なら、ほぼ誰でも持っていると言われているチャレンジコイン。チャレンジコインは、帰属意識や士気を向上させるため、隊長や上司から隊員に与えられる直径4センチほどの円形の金属製コインだ。
2018/04/18
-
火災現場の原因を読む力を学ぼう
近年、世界の先進国における消防は、火災出動件数に減少により火災原因調査の機会も減っている。 アメリカでは全ての消防士達に、「現場活動において、人命救助・財産の保護はもちろん大切だが、消火活動を行いながらも火災原因調査を考慮しつつ、現場を読む力、焼け跡や燃料臭によるエビデンスに基づく想像力、そして、勘を有効に働かせることが重要」と消防学校で教えている。
2018/04/11
-
海外出張時に火災警報器を持参することの必要性について
2018年3月23日(金曜日)の午前1時30分頃、ベトナムのホーチミン市8区にある20階建て700世帯が入居するマンション「カリーナプラザ・ビル(Carina Plaza Building)」で火災が発生。出火から3時間経った午前4時に消し止められた。
2018/04/04
-
米国における火災原因調査の多業種コラボ研修について
現在、全国で消防戦術ワークショップなどを行っているが、消防の火災現場対応件数の大幅な減少による消防戦術力の低下はもちろん、火災原因調査力もスキルアップが難しいという意見を耳にする。
2018/03/28
-
基本的な低姿勢放水体制(ローアングル・ウォーターコントロール)を身につけよう
放水姿勢にはさざまざな考え方がある。火災対象物の現場状況を安全、かつ有効にコントロールしたいとき、既存の消火アタック装備に応じて攻め方が変わってくる。 下記のビデオでは次のような理由で、できるだけ低姿勢を保つ必要がある場合に用いる放水体制である。
2018/03/22
-
「転院搬送の有料化」について考える
近年、救急車の不適正な利用が大きな社会問題になっています。総務省消防庁の統計によると、2016年度は救急出場件数が7年連続で過去最多を更新を更新しました。毎年平均54%が緊急性のない通報で、依然として救急搬送された半数以上が入院を要さない状況など、タクシー代わりに救急車を呼んでいる人もいるようです。
2018/03/15
-
消防職員のパワーハラスメントについて
「消防職員の不祥事予防研修」で講演するサニー・カミヤ氏(画像提供:岐阜県中濃消防組合)一昨年から、元消防職員による、消防事情をわかった上での「消防職員の不祥事予防研修」を、千葉市消防局を始め全国各地で行っている。ご依頼の中で一番力を入れて欲しいというご希望が多いのは「消防職員のパワハラ研修」である。
2018/03/07
-
自分たちで命を助け合う「事態救命」が必要
今年1月下旬、年間訪問者数約4300万人の経済都市ラスベガスを守るラスベガス市消防局とG4Sラスベガス支社を訪れた。 ラスベガスと言えば、ストリップ通り沿いにあるマンダリンベイホテルで、昨年10月1日午後10時すぎ(日本時間2日午後2時すぎ)、フルオートの機関銃やライフルなど複数の銃を使った銃撃事件があり、約59名が死亡、約527名が銃創や避難時に重軽傷を負ったことなどが思い出される。
2018/03/01