PSD Body Recovery Drill(出典:Youtube)

平成30年7月豪雨で亡くなられた多くの方々のご冥福を、心からお祈りいたします。

水難事故の場合、現場に駆けつけたご家族への心理的配慮から、要救助者の状態にもよるが、救出後にバスケットストレッチャーなどに載せた要救助者を防水シートなどで目隠しし、警察車両や救急車などに運んでいる。

ただ、ボート上への引き上げや、救助車のクレーンを用いて岸壁へ引き上げる時などに防水シートで隠し続けるのは非常に難しく、特に風が強い日などは防水シートがめくれてしまい、保持するための活動人員も8人くらい必要となる。

以前から、水中で要救助者をボディーバッグに収容し、プライバシーを配慮した状態で、水上まで引き上げられないかを考えていた。アメリカでは、下記のようなボディーリカバリーバッグ(Body Recovery Bag / BRB)を使っていることを知った。



Dive Rescue International Body Recovery System (出典:Youtube)

このボディーリカバリーバッグは下記のような特徴がある。

・大きさは91cmx225cm。
・引き上げる際の水の重さ約300kgに耐えられる特殊縫製。
・メッシュの排水フィルター付きで、水は落ちるが所持品が落ちない。
・ナイロンとポリエステル製のため、消毒しやすく、再利用可能。
・内側に2本の保定ストラップがついている。
・6本の持ち手がついているため陸上搬送が容易。
・6本のエアーリフト用ストラップ付き。クレーン用ではない。
・水中で空気を入れて浮力を増すオープンエアーリフト付き。
・価格は約6万円。


■Dive Rescue International
https://www.diverescueintl.com/product/body-recovery-system/



PSD Body Recovery Drill(出典:Youtube)

収容の手順は下記の通り。目標収納時間はバディーで3分以内。

1、ボディーリカバリーバッグを要救助者の体に対して平行に広げる。
2、仰向けの状態で上半身から収納する。
3、ジッパーを閉じてエアリフターを装着。
4、エアリフターに空気を入れる。残圧に注意。
5、ボディーリカバリーバッグの足側ストラップを持ってゆっくりと浮上。
6、ボート上に引き上げる。


収納訓練方法は、最初はプールなどの視界が良く、作業条件のいいところで収納手順を身につける。次にマスクの内側に目隠しをした状態で行い、バディー(2人)で協力し、3分以内にバッグに収納する。

ただ、救助車のクレーン等を用いて岸壁上に要救助者を引き上げたい場合は、バッグのストラップが荷重に耐えきれない可能性があるため、ボディーリカバリーバッグをそのまま、バスケットストレッチャーなどに移し替えて引き上げる、

救急車に搬送する際は4名、または、6名で搬送できることや水中で車内の所持品や車検証などもボディーリカバリーバッグに入れた状態で引き揚げられる。また、プライバシーの保護も行えるため、メリットは高いと思う。

これから水害や土砂災害も含めて、水災害は増え続けることが予測されている。人手の足りない状況での要救助者の救助活動において、少しでも活動人員を減らすために今回のようなボディーリカバリーバッグを使うなど、ひとつのアイデアとして採用してもいいかもしれない。

(了)


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