世界的な猛暑。森林火災の危険性も高まっている ※画像はイメージです(Pixabay)


今年、欧州では猛暑により一部で気温が40度を超え、干ばつや森林火災が発生。ギリシャでは7月にアテネ近郊で森林火災が発生し、91人が死亡した。

また、連日のようにアジア・欧州などの記録的高温が伝えられており、ロサンゼルス近郊で日中の気温が47℃、トルコで44℃、ポルトガルで45℃、アフリカ大陸では51.3℃まで気温が上がった。 

日本でも、京都で39℃、岐阜で40℃越えと日本各地で猛暑に達するなど、世界のいたるところで観測史上最高気温を記録している。


Breaking News - Military Intervenes In California Wildfire As State Emergency Declared (TTM) (出典:Youtube)

世界気象機関(World Meteorological Organization)では、世界中で森林火災、山林火災、林野火災、原野火災などの自然火災が発生しやすい時期だとして、注意喚起している。

■世界気象機関
https://public.wmo.int/en/media/news/drought-and-heat-exacerbate-wildfires

EC(欧州委員会)のコペルニクスという危機管理庁は、世界中で発生している大規模な森林火災は、大量の二酸化炭素を排出するため、さらなる温暖化を進めていると強調。全世界の消防庁へ、自然火災の予防に力を入れるよう警鐘を鳴らしている。

■COPERNICUS (コペルニクス) Emergency Management Service
http://gwis.jrc.ec.europa.eu/static/gwis_current_situation/public/index.html

また、地球森林監視局の自然火災に注意すべき世界地図のなかで、日本国内においては、下記の10市町村が火災が起こりやすい気象状況にあると指摘している。

■地球森林監視局
https://fires.globalforestwatch.org/map/

1. 千葉県君津市
2. 広島県福山市
3. 愛知県東海市
4. 兵庫県加古川市
5. 大分県大分市
6. 岡山県倉敷市
7. 茨木県鹿島市
8. 福岡県北九州市
9. 千葉県千葉市
10. 福岡県苅田市


日本の気象庁の異常天候早期警戒情報は、8月11日から7日間、平均気温が「かなり高い」となる確率が30%以上という警戒情報を発表している。自然火災についての警鐘は出していないが、夏休みで自然の中でバーベキューなどのしたあとの火気の不始末、タバコの投げ捨てのほか、クーラーをつけっぱなしにして放置した車のマフラーの熱が枯れ草に燃え移って発火するなど、火災へのリスクビューイングが必要である。

さらに台風による強風の時に火災が発生した場合、ギリシャのような居住地内にある木々が乾燥している場合、風による摩擦で枯れ草が自然発火し、大規模火災に繋がる恐れもある。

■気象庁:異常天候早期警戒情報
https://www.jma.go.jp/jp/soukei/

林野庁のHPは特に異常天候における林野火災についての注意喚起や火災予防などの記載はないが、毎年約1600件の林野火災が発生し、焼失面積は約1000ヘクタール、損害額は約5.8億円と発表しており、「住民避難勧告が発令された大規模な山火事」が発生した市町村名が記載されている。

■日本では山火事はどの位発生しているの?(林野庁)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/yamakaji/con_1.html

いつも思うのは、各省庁が発表している国民の生命・身体・財産・生活に悪影響を及ぼすと思われる様々な情報を統括して、「これからはこういうことが起こる可能性があるので、どことどこの市町村は、具体的にどこに避難し、何に気をつけるべき」などの注意喚起をする防災省、もしくは危機管理省など、危機を本気で予測・予見・予防する省庁が必要ではないかと思う。

いつも高飛車なことを書いているという自覚はあるが、何よりもこれ以上、自然災害で人々を失う必要はないと強く思う。どの自然災害も報告書を読むと、ダムの崩壊や河川の整備、避難勧告や避難指示の遅れなど、十分に予測できたと思われる人災である面も感じる。

また、もし、防災省か危機管理省を設立するならば、できるだけ様々な災害現場を体験している人々で人事構成をして欲しい。本気で国民の生命・身体・財産・生活を守るには、頭を働かすだけではなく、被災者の心や現場活動者の勘のようなものも備えておかなければ、次に起こる災害を予測し、国民の心を動かして避難させ、被災を最低限に抑えることができないのではないかと思う。

もちろん行政に依存せず、国民1人1人が自ら、自分や家族、同僚や友人などを守る情報にいつも興味を持ち、自らそれらの危険情報などを取りに行って共有するなど、危険予防に対するモラルも自然に育てる必要がある。

話が逸れてしまったが、世界気象機関が警鐘しているように「高温警報=熱中症」は十分に周知できていると思われるが、「高温警報=火災発生リスクも高くなる」ということも自覚し、具体的に山林火災予防対策について、進めるべきではないかと感じる。

日本の消防では、あまり山林火災訓練を行わないと思うが、これから毎年、さらなる高温が続く気象環境になっていくという世界的な予報がでていることも受け入れると、ほぼ確実に自然火災は増加すると言える。

できるだけ早く、山林火災専門の消防局や専門家を集めて、大規模な林野火災についての対策や訓練を具体的に行うべきではないだろうか。

(了)


一般社団法人 日本防災教育訓練センター
https://irescue.jp
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