東京都は2月14日、「東京トイレ防災マスタープラン」の素案を公表した。首都直下地震など大規模災害時におけるトイレ利用の確保と衛生環境の向上に向け、発災直後から復旧期に至るまで、都民の健康と尊厳を守るための必要な方策を総合的に示した。

素案では、過去の災害におけるトイレ被害や首都直下地震による被災想定、現状の対策などを示した上で、基本方針として「災害時に必要なトイレを適切な場所に十分な数量確保すること」「誰もが快適で衛生的な質の高いトイレを利用できる環境を整備すること」の二点を柱とした。避難所や避難場所などにおいて災害用トイレを十分数備蓄・整備するだけでなく、女性・高齢者・障害者・乳幼児など、多様な利用者が安心して使えるようバリアフリー化・洋式化などの「質」の面でも配慮を強化することを掲げた。

対策としては、都総務局が関係各局や市区町村と連携し、量や、質、運用体制など総合的なトイレ対策を実現させるとしている。

企業に対しては、自助の推進として、従業員が企業等の施設内に一定期間待機するため、携帯トイレや簡易トイレなどを3日分を目安として備蓄しておくことを掲げている。携帯トイレおよび簡易トイレなどに関して、従業員や顧客などの外来者が混乱することなく使用・維持管理するためのマニュアルを作成するとともに、訓練や研修を実施することも求めている。さらに、施設のトイレ機能を確認するための自主点検方法を確認することも盛り込んだ。

目標として2030年度までに、携帯トイレの備蓄率(3日分)の50%を目指す。都では、素案に対する都民の意見を広く募集しており、寄せられた声を踏まえてさらに内容を充実させる予定。

都では、東京トイレ防災マスタープランに加え、東京都避難所運営指針素案、東京防災アクションプラン改定素案についても意見募集を行っている。