コールフォワードの重要性

ジョエル:「プッシュ」から「プル」のサプライチェーンモデルにおいて、ニーズがどのように変化するかについて、フードバンクの経験を踏まえて教えてください。初期段階から3か月後、6か月後にかけて、どのように対応を転換すべきか?

チャールズ:「いつ転換すべきか」を知るためには、中間段階である「コールフォワード」が重要です。これは、被災地にいるスタッフが必要なものをアセスメントし、具体的なリクエストを行うフェーズです。「プッシュ」は、何も考えずにトラックに荷物を積んで配布するだけですが、「コールフォワード」は現地の声を基に物資を調整します。同時に、被災者が自分たちで必要なものを購入できる状態にあるかどうかも考慮しなければなりません。仕事に復帰しているのか、店が営業を再開しているのかといった点です。私は、スーパーマーケットと競合することを気にするよりも、必要な支援が本当に役立つものかどうかに集中します。

ジョエル:見せかけの行動に終わるリスクもありますね。

チャールズ:その通りです。例えば、パンデミック中に沖縄で世帯に5,000円相当の食料を配布したことがあります。その際、それが実際にどれだけ役立ったのかを調べたところ、50%しか本当に必要とされていませんでした。飲み物やスナックは受け取られましたが、経済的なインパクトはあまりありませんでした。この経験から、提供する支援の実際の価値を評価することの重要性を学びました。災害現場で提供された支援が受け入れられなくなってきた場合、それは「プル」モデルへ転換するサインです。つまり、人々が本当に必要としているものに焦点を当てるべきなのです。

ジョエル:状況が明確になるにつれ、需要主導のアプローチへ移行することが重要というわけですね。

チャールズ:その通りです。災害状況が進展する中で、被災者の本当のニーズを継続的に評価することが非常に重要です。スタッフが需要主導のアプローチに切り替える意識を持つことで、リソースの最適化が可能になります。例えば、沖縄でのフィードバックを元に、本当に必要とされるものに集中することができます。限られたリソースを最大限に活用するためには、現地の声を聞き、無駄を減らすことが鍵です。

ジョエル:ハリケーン・カトリーナの際、私は新宿でPeace Boatの募金活動を行っていました。多くの方が寛大に寄付をしてくださり、十分な資金を集めることができました。しかし、被災地にいる現地のスタッフから得た情報によると、人々が最も必要としていたのは下着でした。店は閉まっているか略奪されていたり、遠く離れていたりして、たとえお金があっても入手が困難だったのです。この経験を通じて、被災地のニーズがどのように進化するのかを知るためには、現場にいる誰かが重要であることを実感しました。

チャールズ:現場の現実を知ることが大切です。例えば、下着が必要だという報告があった場合、私なら「それを言っているのは何人か?」と尋ねます。もし100人のコミュニティで20人が必要だと言っているなら、それはかなり重要なニーズです。しかし、1,000人のコミュニティなら、それほど広範囲のニーズではないかもしれません。このように、実際の規模を把握し、得た情報を検証することが不可欠です。例えば、SNSで「下着が必要だ」という噂が広まると、それがあたかも全員のニーズであるかのように誤解されることがあります。東北でも、下着の寄付が突然大量に送られてきたことがありましたが、私たちがリクエストしたものではありませんでした。ですから、真のニーズを評価し、それが実際の需要と一致しているかを確認することが重要です。

ジョエル:つまり、徹底的なアセスメントを行い、複数の情報源から意見を集めることが必要ですね。1人や1つの情報だけに頼るのではなく、地域住民や地元組織、他の支援者とも話し合い、全体像を把握することが大切だということですね。

チャールズ:その通りです。自分自身の偏見をチェックすることも重要です。自分の視点が正しいと思い込んだり、先入観に影響されないようにしなければなりません。そして、聞いた情報やその背景を常に疑問視することが必要です。間違いを受け入れる柔軟性を持つことで、より多くの情報を収集し、アプローチを改善できます。時には予想外の答えが返ってくることがありますが、それが最も有益な洞察につながることがあります。