【シリコンバレー時事】米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊を襲った山火事で、市消防局の予算を削減したとして、ロサンゼルスのバス市長(民主)の政治責任を追及する声が出ている。バス氏は消防局の現在の対応能力に問題はないと釈明するが、「過去最悪」とされる山火事の被害は拡大しており、批判はさらに強まる可能性がある。
 問題視されているのは、2024~25年度の市予算で、バス氏の主導によって消防局予算が前年度比で約1700万ドル(約27億円)削減された。地元紙ロサンゼルス・タイムズによると、バス氏は機器購入を減らすことを中心とした予算カットを提案した。
 最終的に消防局予算とは別枠で、消防士の昇給や消防車購入費が市議会で承認されたため、消防関連全体で見れば増額となった。ただ、消防局予算の削減を率先した事実に注目が集まり、バス氏は非難されている。
 消防局のクローリー局長が以前から予算削減により緊急事態への対応に支障が出ると訴えていたことも判明。山火事発生後にクローリー氏が「火災への対応がある程度制限された」とメディアに述べたことも波紋を呼んだ。
 当局によると、山火事による死者は少なくとも16人で、安否不明者が13人いる。約150平方キロメートル超を焼き、家屋などの建物1万棟以上が損壊した。避難命令の対象者は10万人超。米気象分析会社アキュウェザーによれば、損害額は推計最大1500億ドル(約24兆円)で、05年に米南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の2000億ドル(約32兆円)に迫る規模だ。 
〔写真説明〕水を投下する消防ヘリコプター=10日、米カリフォルニア州ロサンゼルス(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)