東京都新宿区のマンション地下駐車場で2021年、天井の張り替え中に二酸化炭素(CO2)が充満し作業員5人が死傷した事故で、警視庁捜査1課は7日、業務上過失致死傷容疑で、作業を請け負った「株木建設」の社員で現場代理人の男(60)=府中市=を書類送検した。

 男は容疑を認め、「起動ボタンを押さなければ、CO2が噴出しないと思っていた」と話しているという。

 送検容疑は21年4月15日午後、新宿区下落合のマンション地下駐車場で、下請け業者の作業員らに天井張り替え工事をさせる際、消火設備が稼働しないようにする措置を怠った上、作業員らに危険性を周知せずに設備を誤作動させ、27~59歳の男性作業員4人を死亡させ、1人に軽傷を負わせた疑い。

 同課によると、消火設備は熱感知器と煙感知器の両方が反応するとCO2が噴出して火を消す仕組みだった。 

 作業員は天井の張り替えのためにそれぞれの感知器のカバーを取り外した。その後付け直す際、手のひらの熱で熱感知器が反応。さらに、煙感知器の台座に誤って熱感知器のカバーを取り付けたことで、両方のセンサーが誤作動し、CO2が噴出した。

 同課は男が事前に消火設備の設定を自動から手動に切り替えたり、CO2ボンベに付いている閉止弁を閉めたりしていれば、誤作動を防げたと判断。設備の仕組みを知っていながら、作業員に「触らないように」としか伝えなかった点も過失と認定した。

 誤作動後の現場のCO2濃度は通常の240倍以上だったという。事故当時、男は現場にいなかった。(了)

ニュース提供(時事通信 2024/11/07-16:12)

(ニュース提供元:時事通信社)